令和でも「虚礼」をやめられない人間の悲しい性 「年賀状」をやめた自営業者はどうなったか?

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「これ、なくてもいいんじゃない?」と思ってしまうような、日本ならではの「虚礼」。平成で淘汰された虚礼から、令和ではなくしたい虚礼までをご紹介します(写真:freeangle/PIXTA)

新元号「令和」が到来して1カ月あまり。「無駄と感じることは、できるだけやりたくない」と考えるのが人間の性(さが)だが、なぜ実用性に欠く「虚礼」は令和でもなお残り続けているのか。

年賀状、お中元、お歳暮は虚礼の3大巨頭とも言えそうだ。ほかにも結納やバレンタインデー、出張帰りの職場へのお土産なども挙げられるだろう。

実は、こうしたものを無駄と思う風潮は昔からあった。1989(平成元)年に発売された書籍『現代無用物事典』(新潮文庫・朝日ジャーナル編)によると、当時、「無用」「無駄」と思われていたものが37項目紹介されている(理解が深まるよう、現在でも存在するものには「○」、減ったものには「△」、ほぼないものには「×」、むしろ増えているものには「◎」など補足をしておく)。

<『現代無用物事典』で紹介された37項目>
1:戒名 → △
2:電話の“お待たせオルゴール” → ○(ただし、固定電話の使用頻度は激減した)
3:電信柱 → ○
4:敷金 → △
5:公団の分譲住宅 → ○
6:有料道路 → ○
7:私物としての傘 → ○
8:500円硬貨 → ○
9:お正月 → ○
10:給与の銀行振り込み → ○
11:スボンのチャック → ○
12:プロ野球の引き分け → ○
13:マイルドセブン → ×(ただし、「メビウス」と名称変更しただけ)
14:校歌 → ○
15:朝会(朝礼)→ ○
16:合否電報 → ×
17:イッキ飲み → △
18:時価 → ○
19:ボトルキープ → ○
20:おいしい水 → ◎(むしろミネラルウォーターが大隆盛に)
21:アマチャヅル → ×(知らない人も多いだろう。一時期ブームになったお茶)
22:ホスト・テイスティング → ○(ワインをボトルで頼んだときに少し飲んで「ウン!」とやるアレ)
23:男性用化粧品 → ◎
24:キュロットスカート → ○
25:動物園のコアラ → △(ただし、希少動物すぎるため減るのは仕方がない)
26:書店のブックカバー → ○
27:駅のアナウンス → ◎(むしろ過剰になった)
28:車内販売 → △
29:映画館のCMと予告編 → ◎
30:政府広告 → ○
31:雑誌の〈発行日〉→ ○
32:主催者側発表 → ○
33:ハウツー → ◎
34:クルマの厚化粧 → △(昔は「リアスポイラー」やら「光るナンバープレート」など)
35:血液型性格判断 → ○
36:ダイエットのウソ → ○
37:禁句集 → ○
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