「保身は得意」と悪評、逆風の平井ソニー 止まらない業績悪化に社員やOBからも不満噴出

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商品へのこだわりを評価する声もあるが、目立ったヒット商品を生み出せていない(撮影:尾形文繁)

今回の赤字転落の責任を負うべきは、トップ就任2年目の平井一夫社長だ。エレキ事業の見通しについて下方修正を繰り返す理由は、主要製品に対する市場見通し、販売台数見通しがことごとく甘いため。3カ月ごとに販売台数の計画を下げる姿は、尋常ではない。現役社員やOBからは怒り、不満、あきらめの声が噴出している。

パソコン事業に携わっていた元幹部は今回の売却の決断に批判的だ。「ソニーよりパソコンの事業規模が大きいNECは、もっと前(2011年)に本体から切り離し、レノボと統合している。売却するのであれば、もっと早く決断しなければならなかった。ソニーはどこよりも早く決断をする会社だったはずだ」

パソコン事業の現役社員はダメになった理由をこう解説する。「(同事業のトップである)鈴木国正執行役が異動してきて、質より量を追うようになった。年1000万台の出荷を目指し、それまでのVAIOとかけ離れた安物を大量に作るよう指示された」。

鈴木氏の下で事業を統括する赤羽良介・業務執行役員にも批判の声が上がる。「赤羽氏の就任以来、作るのが難しい製品や手に入りにくい部品の採用を避けるようになった。人気商品でも利益率が低いと切り捨ててしまい、商品力と開発のモチベーションを下げた」。委託製造もトラブル続きで、不良品率の上昇、新モデルの出荷遅れが常態化するようになったという。

にもかかわらず、赤羽氏が新会社の社長に就任する。パソコン事業の本拠地、長野テクノロジーサイトにそれが伝わると、多くの従業員からため息が漏れたという。

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