ホンダ「フィット」に不具合が多発する理由 早くも3度目のリコール、好調な販売に冷や水

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12月に発売したばかりの「ヴェゼル」(撮影:尾形文繁)

複雑な制御を行うため、変速機の制御ソフトウエアの開発工数は、ガソリン車や既存HVに比べて「半端なく増えた」(開発者)。DCTのユニットを供給するドイツの大手機械メーカー・シェフラーの開発陣とともに、本田技術研究所では最後の最後まで手直しを繰り返したという。

HV競争の緒戦でトヨタに完敗したホンダが、逆転をすべくHVシステムを完全刷新するという高い目標に挑んだわけだが、品質管理での詰めが十分でなかった。

21日まで出荷中止

ホンダでは2月21日から制御プログラムの書き換えを実施する予定だ。寄居工場(埼玉県)と鈴鹿工場(三重県)で生産中の車両については、21日まで出荷を中止、販売店にある在庫も顧客への引き渡しを中止する。これに対応して、フィットとヴェゼルのテレビコマーシャルも取りやめたほか、15日、22日の休日生産の予定をキャンセルし、約1700台減産する。

ホンダにとって、リコール対策費用そのものは、制御プログラムの書き換えと、破損の可能性がある場合はDCTの部品交換のみであり、また対象台数も少ないため、さほど大きな負担にはならない。

ただ、大きな期待を背負って登場し、その期待通りに好調な出足を見せていた両車だけに、売りであるHVシステムで異例のリコールを出したことは、今後の対応次第では大きなイメージダウンにつながりかねない。従来のリコール以上に、徹底した取り組みが必要だ。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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