しまむら、客離れに歯止めかからない深刻事情 利益は下げ止まるも、昨夏から客数減が続く

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だが、その落ち込みぶりは天候要因だけでは説明しきれない。確かに、天候不順に見舞われた4月と7月の既存店売上高は前年同月比10%以上の減少と突出して悪かったが、客数については、3月以外のすべての月が3%以上のマイナスとなっている。

過度な安値セールを減らしたため、客単価が上がった反面、客数が伸びなかった側面はあるだろう。

失われた“しまむららしさ”

しかし、客数減の主要因として考えられるのが、顧客離れの長期化だ。しまむらでは2015~2016年に、PB(プライベートブランド)商品の「裏地あったかパンツ」や「素肌涼やかデニム&パンツ」が大ヒットした。が、その後は集客を促すような新たな人気商品を生み出せていない。

1つの品番で大量に売れるPBがヒットするかたわら、売り場の整理やアイテム数の絞り込みを進めすぎてしまい、多種多様な商品が雑多に混在する“しまむららしさ”も徐々に失っていった。

安さだけでは購買を訴求しづらい、消費環境の変化も追い打ちをかけた。ちょうど1年前、2019年2月期上期(2018年2~8月期)の決算説明会で、北島社長は「(販促を行っても)客数がそれほど上がらなかった。消費者による『要不要の選別』が厳しくなり、安売りをすれば客数が上がるという方程式が以前ほど確実ではなくなった」と話していた。

前期に実施した「1400店舗記念セール」や「65周年セール」では、140円のTシャツや65円の靴下などの目玉商品を用意したものの、客数の押し上げ効果は限定的だった。現在のしまむらは、こういった選別意識の厳格化を背景にした顧客離れを食い止めきれずにいる。

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