チェーン店が次々撤退!「1人勝ち喫茶店」の真実 「全国チェーンが撤退する街」でも流行る秘密

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1つ目は、お客さまに選ぶ楽しみを与える「豊富なメニュー」です。

お客さまに「選ぶ楽しみ」を提供する

【1】選ぶ楽しみがある「豊富なメニュー」

「黒田珈琲」は、名前にあるとおりのコーヒー店。当然コーヒーにはこだわって自家焙煎したコーヒーを丁寧に淹れています。しかし、コーヒーだけでは客層は限られてしまうので、フードメニューにも力を入れています

豊富なメニュー(撮影:今祥雄)

人気のサンドイッチやホットケーキだけでなく、パンケーキも用意されています。しかも、ソーセージが添えられているしょっぱい系の「パンケーキ」、黒糖バナナとブルーベリーソースが添えられている甘い系の「デザートパンケーキ」と、両方の味が楽しめる工夫もしています。

お客さまにとっては「これしかない」ではなく、「何にしようかな」という「選ぶ楽しみ」が生まれます。商品を提供する側からすれば、メニューを絞ったほうが効率的だし、オペレーションも簡単です。しかし、それはお客さまの「選ぶ楽しみ」を奪うことでもあるのです。

現在では、それぞれのメニューに固定客がつくほどの人気で「減らすものがなくて困っている」とうれしい悲鳴が出るまでになっています。

【2】ほかの店では味わえない、プロの「こだわり」の味

2つ目は、一つひとつのメニューに対する「こだわり」です。いくらメニューが豊富でも、それぞれがおいしく、魅力的なものでなければ、お客さまにとっては価値がありません。

「黒田珈琲」では、メニューを特別なものにする工夫に余念がありません。例えば、ホットケーキはベーキングパウダーにこだわっています。ホットケーキはふわふわとした食感が命です。そのためには、一般のベーキングパウダーではなく、つてを頼って、わざわざ特別なものを手に入れています。

また、ホットケーキを焼く銅板は、厚さ5ミリの特注一枚銅板を使っています。家庭でつくるホットケーキとは、まったくの別物である理由がここにあります。型でくり抜くなど見た目にこだわるだけでなく、その味覚にこそプロの「こだわり」があるのです。

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