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僕が「あまちゃん」紅白で奇跡を起こすまで 40歳過ぎての微妙なポジション。そのとき僕は…

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  • 吉田 照幸 NHKエンタープライズ番組開発部エグゼクティブ・プロデューサー
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台本や文章を書くときも、僕は実践しています。最初にプロットを書き、流れを構成します。しかし書き始めると、途中でプロットとは違うアイデアが浮かぶことがあります。直感です。すぐそちらに乗ります。ダメだったら、元に戻ればいいのです。とにかく試してみる。そうやって書いていると、最後に思いもよらないテーマが浮かび上がってくることがあります。自分で書いているものなのに、自分が気づかされる瞬間を何度も経験してきました。

僕は、まったく自分の理想を持ちません。どんな仕事でもコツコツ試し、どんなものができるんだろうとワクワク見守るのです。

Epilogue 変われば、奇跡はやってくる

今年の紅白歌合戦のあまちゃんコーナーで、僕は演出を担当しました。ユイちゃん(橋本愛さん)が東京についにやってきて、アキ(能年玲奈さん)と歌い、影武者だった春子さん(小泉今日子さん)が表舞台に立つ、そしてさらに鈴鹿ひろみ(薬師丸ひろ子さん)が……まさに夢の舞台でした。

紅白であまちゃんコーナーをやるという話が持ち上がったとき、僕は「自分にやらせてくれ」と手を挙げました。紅白の演出や、ドラマチーフを飛び越えての申し出です。僕はあまり自分で前に出ることが不得手(信じてもらえないかもしれませんが)です。だけどこのときは、頭の中で「やれ!」という直感が降りてきました。

吉田さんの「変わる技術」については、著書『発想をカタチにする技術』にも詳しい

強制的に苦難を受け入れた瞬間でした。もし失敗すれば、せっかく大ヒットしたドラマにケチをつけ、目玉企画として考えている紅白歌合戦にも迷惑をかけます。どちらも国民的番組です。毎日毎日、あらゆるアイデアを入れては捨て、構成を磨いていきました。

理想のカタチなどありません。とにかく毎日更新です。結果、ドラマのクライマックスが、最初からここにあったんじゃないかというぐらい、すべてがはまった瞬間が現れました。あんなにどよめいた紅白の客席を、僕は知りません。さまざまな人からすばらしかったと声を掛けられました。本当にうれしかったです。何よりも国民的番組に貢献できたこと……すいません。きれいすぎますね。半分は本当ですが、もう半分の本音は、自分がそのプレッシャーに打ち勝ち、結果を出したことがうれしかったのです。

正月、紅白の感想を見て、もう少し成功の余韻にひたろうと思った(小さな)僕は、ある書き込みを見て愕然としました。

「企画コーナー15分になってる。ちょうど朝ドラ1本分。奇跡の構成だ!」と。

担当演出として告白します。まったく計算してません。それに、気づいてもいませんでした。まったくの偶然です。だからこそ思います。

 自分から離れ、直感を信じる。つらい道を選び、自分を更新し続ける。

すると、やってくるんだなって思いました。

奇跡って。

みなさんにも、そんな奇跡が訪れることを願っております。

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