「あまちゃん」大ヒットで注目増す大人計画 役者の売り込みに尽力した長坂まき子社長に聞く(上)

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大人計画の長坂まき子社長、早くから役者の売り込みに力を入れた(撮影:今井康一)
NHKの連続テレビ小説ドラマ「あまちゃん」の人気が止まらない。視聴率は22%を突破し、大友良英の手掛けたサウンドトラックはオリコンのトップ5入りする異例の大ヒット。北三陸を舞台に能年玲奈が主人公の海女、地元アイドルを演じる現代ドラマだが、その母を演じる小泉今日子の高校時代である1980年代ネタも30~50代の視聴者層に支持され、ヒットが続いている。驚いたときに使う「じぇじぇ」は、早くも今年の流行語大賞の本命とされるほどだ。
その人気ドラマで目立つのが「大人計画」の存在だ。大人計画とは1988年に旗揚げした人気劇団。今回、あまちゃんの脚本を担当しているのが、大人計画所属の宮藤官九郎であり、出演者としても、大人計画主宰の松尾スズキ(喫茶店マスター、甲斐役)、劇団所属の荒川良々(副駅長、吉田役)、皆川猿時(教師、磯野役)、伊勢志摩(花巻役)、村杉蝉之介(カメラ小僧、ヒビキ役)といった面々が、脇を固める。NHKの連続テレビ小説の脚本を小劇場関係者が手掛けることは初めてではないが、何人もの役者が出演できたのは、それだけ大人計画がテレビで活躍できる役者をそろえていたからともいえる。
劇団として舞台制作を行うだけでなく、マネジメントも手掛ける会社として成功したといえる大人計画。その代表を務める長坂まき子社長に話を聞いた。

「あまちゃん」誕生につながるきっかけ

――「あまちゃん」の制作統括は訓覇圭(くるべ・けい)プロデューサーですが、訓覇さんと大人計画とのそもそもの出会いは?

始まりは2011年の春だったと思います。「TAROの塔」(松尾スズキが主役の岡本太郎を演じた、11年放映のNHKドラマ)もあり、訓覇さんといろいろお話する機会があって、何となくお話している間に、宮藤が朝ドラの脚本を書くというのはどうだろうか、という話になりました。訓覇さんとは以前にごあいさつをしたことがありましたが、きちんとお話して仕事をしたのは、「TAROの塔」が初めてでしたね。

――松尾スズキさんは「あまちゃん」にも東京編から、原宿の喫茶店のマスター、甲斐役で出演しています。それぞれのキャストはどう決まったのですか。

脚本を読んで(こちらから)この役をぜひと言ったものもありますし、訓覇さんのほうからこの役どうですかと言っていただいたものもあります。

小泉(今日子)さんとか能年(玲奈)さんとか、ものすごく彼女たちがつくってらっしゃる役だと思うし、私は大人計画の俳優だけが宮藤の脚本にハマっているわけではないと思います。あのドラマの世界観が宮藤の脚本ですべて書かれているかというと、そういうことはなくて、出演者のみなさんがつくられる世界も大きいなと思います。

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