「中小企業の改革」を進めないと国が滅びるワケ アトキンソン「中国の属国になるシナリオも」
9月21日、『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』という本を世に出しました。
おかげさまで、この本は発売前にもかからず非常に大きな反響がありました。まだこの本を読んでいない方たちには、サブタイトルの「中国の属国」という文言に対して「経済の話をしているのに論理が飛躍していないか」「幼稚な陰謀論だ」という印象を受けるかもしれません。
そこで、本の内容を紹介させていただく前に、「中国の属国」という言葉に引っかかっている方たちに対して、なぜこのようなタイトルになったのかという真意を説明させていただきます。
「日本が中国の属国になる」シナリオのリアリティー
日本の人口動態を細かく分析していけば、生産性を高めるしかもはや道がなく、国も民間も真っ先に取り組まなくてはいけない最優先課題であるということは、これまで東洋経済オンラインの連載や著書、講演などでも繰り返し申し上げてきた通りです。
この生産性向上を、過去に頓挫したさまざまな改革と同じく、「ほかにも方法があるはずだ」「生産性を急に上げることが現実的に難しい」「最低賃金を1000円に上げたら、企業の倒産は続出するぞ」などと先延ばしにすれば、日本社会に致命的なダメージをもたらし、後世に大きな負の遺産をもたらすのは間違いありません。そこで、今すぐに手をつけなくては手遅れになるという警告も含めて「国運の分岐点」としました。
では、具体的に生産性を上げるにはどうすればいいか。わかりやすく言えば、「中小企業改革」です。今の日本の産業構造では、生産性向上はほぼ無理です。タブーとされてきた中小企業部門にメスを入れないと、どんなに技術とイノベーションで人口減少に対応ができると言っても、生産性は改善しません。
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