4カ月の育休で見えた妻の「謎の不機嫌」の正体 「名もなき家事多すぎ」「仕事の方が楽!」

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水の流れが悪く排水口のゴミ受けを見ると予想以上に汚れがひどく、強めに水を当ててそっとフタを閉じる家事
命名 ぬめりだけ取り

ご覧いただいて、どう思われたでしょうか。1つひとつの家事は、大変ではないかもしれません。しかし、こうした名もなき家事が朝から晩までひっきりなしにやってくると思うと……。それだけで発狂したくなるはずです。そんな状態で、夫の心無い一言があったとしたらなおのこと。こうした連続した名もなき家事こそが、謎の不機嫌の正体であるとわかったのです。

不機嫌解消の第一歩は、相手への想像力

夫は会社で「仕事」、妻は「家事」と役割分担をしている場合、「疲れて帰ってきたのに、さらに妻に気を遣って家事をするなんて……」と思う方もいるかもしれません。もちろん、その気持ちも理解できます。

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そんなときは、想像してみてほしいのです。3歩進んで4歩下がるような一筋縄ではいかない家事育児に奮闘している姿を。そのなかでつねにストレスを抱え、気持ちを削られながらも、悪戦苦闘している姿を。

もちろん、日中仕事をしていると、家庭のなかでそんな事件が起きていることを見ることはできません。しかし、想像力を働かせることはできるはずです。その想像力が、男女の間に横たわる不理解や断絶を解消する糸口になるのです。

自分のいちばん身近にいる大切なひとの大変な瞬間に思いを馳せる。その手がかりとして「名もなき家事」の存在を理解していただければ、妻の謎の不機嫌が軽減するだけでなく、多くの家庭に平和が訪れるはずです。

それぞれの家庭なりの「名もなき家事」について夫婦間で話し合い、相手をねぎらい、家事シェア・育児シェアの可能性を模索していただきたいと思います。こうした理解が生まれるだけで、妻のささくれだった気持ちは和らぎ、夫婦関係のさらなる悪化を食い止めることができるはずです。

梅田 悟司 コピーライター・武蔵野大学教授

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うめだ さとし / Satoshi Umeda

1979年生まれ。上智大学大学院理工学研究科修了。広告会社でコピーライターとして活動した後、ベンチャー企業のコミュニケーション戦略の立案を中心とした起業家支援を行う。現在は、武蔵野大学にて、学生起業の支援に加えて、起業家研究を行っている。主な仕事に、ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、リクルート「バイトするなら、タウンワーク。」、Surface Laptop 4「すべての、あなたに、ちょうどいい。」のコピーライティングや、TBSテレビ「日曜劇場」のコミュニケーション・ディレクターなどがある。著書にシリーズ累計35万部を超える書籍『「言葉にできる」は武器になる。』(日本経済新聞出版社)ほか。

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