"ドル箱"インド市場でスズキが新たな一手 単独で工場新設に500億円

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軽自動車大手、スズキの業績が好調だ。2月6日に発表した2013年4~12月期(第3四半期)決算は、売上高2兆0757億円(前年同期比13.9%)、営業利益1347億円(同45.1%増)と大幅な増収増益となった。

2014年3月期の通期計画も売上高2兆8500億円(前期比10.5%増)、営業利益1800億円(24.5%)に上方修正。6年ぶりに過去最高の営業利益を更新する見通しだ。

最大の増益要因は、為替が円安に振れたこと。利益の押し上げ効果は通期で約500億円に上る見込み。加えて、軽トールワゴン「スペーシア」や軽クロスオーバー「ハスラー」が好調な日本、現地のエコカー減税認定車を新たに投入したインドネシアなども牽引している。

インドに子会社を新設

今後の成長に向けて、新たな投資にも踏み切る。1月28日には、インドに新工場を建設すると発表。100%出資の新会社スズキ・モーター・グジャラート(SMG)を4月に設立し、約500億円を投じる。2017年に年間10万台程度の生産からスタートし、段階的に引き上げる計画だ。

スズキにとって、インドは日本と並ぶ最重要市場。現地でのシェアは直近で40%超と断トツの首位だ。インドの自動車市場は人口増や所得水準の上昇を背景に、今後も一段の拡大が見込まれている。そんな中、マルチの年間生産台数は110~120万台と、最大生産能力である150万台に近づきつつある。今回の投資は将来を見越してのものだ。

スズキは1981年に同国政府と合弁でマルチ・スズキ(当時の社名はマルチ・ウドヨグ)を設立。当初は26%の出資だったが、徐々に出資比率を引き上げ、2002年に54.2%を握って連結子会社化した。このマルチが生産から販売まで一貫して担う”現地化”によって成功を収めてきた。

ただ、今回の投資はマルチではなく、スズキ本体が行う。なぜ現地化と逆行するような決断をしたのか。

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