「何もしない」を職業にした35歳男の豊かな人生 「レンタルなんもしない人」が親しまれる理由

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ニーチェは、人間関係の軋轢に悩みながら生活の保証や安楽のために生きるのではなく、永劫回帰の人生のなかで自らの確立した意思を持ち「超人」として生きよ、と説いている。

「大学院に進学したのも周囲がそうしていたからで、なんも考えずに流されただけでした。自分の意思で生きることは少なかった」

ニーチェとの出会いによってレンタルさんは、自分の生き方を見つめ直しはじめた。レンタルなんもしない人の活動場所をツイッターに定めたのは、学生時代からの趣味が大いに影響しているようだ。

ツイッターアカウントは2016年10月に立ち上げた(@morimotoshoji)。

「15年ほど前からお題に対して面白い回答をする『ネット大喜利』という遊びにハマって、6年ぐらい投稿し続けて、サイトのランキングで1位になったりもしました。言葉を使った表現が面白いと思ったのは大喜利のおかげですね。ツイッターもそうだけど、短文で気の利いたことを言う、というのがぼくにはあっていたんだと思います」

大喜利サイトには『夫のちんぽが入らない』(扶桑社)の作者こだまさんや、『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)の爪切男さんなど、SNS発でいまや大人気となった作家もいたという。

「面白い」へのこだわり

短い言葉で、いかに人を笑わせるか……大のお笑い好きだったレンタルさんにとって、大喜利の世界は自分にとっての「面白い」を表現する唯一の場所だった。それは現在、ツイッターでの業務報告で見せるユーモアにも通ずるところがある。

就職して大喜利からいったんは離れたものの仕事を辞めた29歳ごろから再開。最近まで投稿していたという。表現ツールとして、「面白い」を発信する原点は大喜利にあったのだ。とはいえ、当時は自分の思う「面白い」にあまり自信が持てなかった。

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