住友重機、焼却灰施設を巡る紛争の全貌 京都市とのイザコザは裁判に発展も
設備工事を巡り、発注側の京都市と工事を請け負った住友重機械工業がもめている。相次ぐトラブルで当初の引き渡し期限を3年以上過ぎ、激怒した京都市側が契約解除を通告し、多額の賠償金などを請求したのだ。住友重機側は和解の可能性を探っているが、市側の態度は硬い。
問題となっているのは、京都市伏見区の焼却灰溶融施設(=写真)。ごみ処理場から出る焼却灰を高温で溶かした後に冷却固化して容積を圧縮する施設で、この施設が稼働すれば、最終処分場の使用可能期間が伸ばせる。2005年に住友重機が京都市から工事を受注(契約金額は114億円)し、当初計画では2010年5月末までに引き渡す予定だった。
ところが、2010年の設備完成後に試運転を行うと、溶融炉内のレンガ損傷や灰詰まり、排水から基準値を大幅に上回るダイオキシン類が確認されるなどの問題が続出。住友重機はトラブル対策に追われ、期限を大幅に過ぎても、引き渡し時期のメドすら立たない状況が続いた。
市は賠償金202億円の支払いなどを要求
京都市の焼却灰溶融施設の処理能力は1日当り330トンで、全国的に見ても大規模な部類に入る。一方、住友重機は愛媛、熊本などで溶融施設の工事実績があるが、いずれも規模は小さく、業界関係者の間では「無理して大きな案件に手を出したことが技術的な問題につながった」との見方も多い。
当然、議会などでも大きな問題となり、業を煮やした京都市は施設の総点検と納期の確約を強く要求。住友重機側は12年7月、当時の中村吉伸社長名で「13年8月末日を引き渡し期限とし、そのメドが立たない場合には市に一切の負担をかけないよう真摯に対処する」とする確約書を提出。その直後、市側は「再び期限が守れない時には、市が施設に要したすべての費用に相当する金額を請求し、かつ、設備の撤去を求める」とする厳命書を送付している。
そして、その期限が目前に迫った昨年6月、住友重機は引き渡し前の品質確認として義務づけられている30日間の連続試運転を開始。ところが、2週間目にまたしてもトラブルが発生し、試運転は中断を余儀なくされる。住友重機は試運転を再開するため、急いで対策案をまとめたが、市側は「効果が確認できない」として却下。その後に2回に渡って提出した対策案もOKが出ず、試運転を再開できないまま8月を迎えた。
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