10年で利用者「伸び」1位、意外な大手私鉄の名前 16社の定期客・定期外客の増加率を比較

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2位は東京メトロで伸び率は22.2%。東日本大震災が起きた2011年を底に高い勢いで伸びている。その後の景気拡大による雇用環境の改善に伴い、定期券利用者が増えたとみられる。

3位は名古屋鉄道で20.7%増。同社は「三河線・西尾線で利用者が伸びている」と説明する。三河地区はトヨタ関連の工場が集積している。トヨタ自動車の好調が高い雇用を生み、それが定期券利用者の増加につながっているという構図だ。

4位は東急電鉄の14.7%増。東急沿線の高いブランド力を考えると、この順位は当然ともいえる。

逆に下位を見ると、ワースト1位の近畿日本鉄道は2009年度よりも利用者を減らしてしまった。近鉄の営業範囲は非常に広く景気拡大効果よりも地方部の人口減少の影響が大きかったようだ。ワースト2位は南海電鉄、同3位は京阪電鉄で、下位3路線はいずれも関西地盤の鉄道会社だ。

ワースト4位は相模鉄道だが、今年11月にはJR線との相互直通運転が始まり、念願の都心乗り入れを果たす。その先には東急線への乗り入れも控える。阪神なんば線効果で10年間にわたって高い伸びを維持している阪神のように、相鉄もJR直通を機に定期利用者数を長期間にわたて増やし続けることができるだろうか。

定期外はインバウンドが牽引

続いて定期外利用者を見てみよう。定期利用者同様に1位が阪神で2位が東京メトロ

3位は南海。定期券利用者がワースト2位にもかかわらず、定期外はベスト3位という理由は、関西空港のアクセス線を持っているからにほかならない。海外の旅行会社を通じてインバウンド旅客用の乗車券を発売するなど、積極的にインバウンド利用を進めていることが奏功した。

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