2020東京チームの師、プレゼン必勝法を語る

東京五輪プレゼン/マーティン・ニューマン氏インタビュー

 東京オリンピック・パラリンピックを実現させた東京チームの情熱的なプレゼンテーション。その指導を担当したのが、プレゼンテーション・トレーナーのマーティン・ニューマン氏だ。なぜ日本チームは勝てたのか。プレゼンの腕を磨くにはどうすればいいのか。ニューマン氏にプレゼン必勝法を聞いた。
太田雄貴選手のプレゼンには、数々の高等テクニックが散りばめられている(写真:ロイター/アフロ)

デリバリーを制す者が、プレゼンを制す

――オリンピックのプレゼンにどのようにかかわったのか。

スピーチを書いたのはニック・バーレー(招致請負人と称されるコンサルタント)。私は舞台で言えば、監督のようなもの。

――どのような経歴なのか。

もともとはライターで、スピーチライティングをしていた。その頃は、コンテンツがすべてだと思っていた。でも、完璧なスピーチを書いても、デリバリー(伝え方)がまずければ、結果は散々。内容がひどいスピーチでもデリバリーで賞賛されたりする。デリバリーが人に与えるインパクト(パーソナルインパクト)は、それ以外のインパクトよりよっぽど大きいと気づかされた。

――プレゼンにおいて大事なのは?

ギリシャのアテネの4世紀の哲学者、デモステネスは著名なスピーチライターだった。スピーチのグル(Guru)として、演説術 (Art of speech) をマスターし、雄弁家となった。ある日、弟子が「スピーチにおいて最も重要なことは何でしょうか」と尋ねた。デモステネスは「デリバリー」と答えた。「2番目に重要なことは何でしょうか」。「デリバリー」。「三番目は?」。答えは同じだった。デリバリーを制する者がプレゼンを制する。

スピーチやプレゼン、あらゆるコミュニケーションにおいて、最初に考えなければいけないのは、「What mood do you want to create?」(どのようなムードを作っていきたいか)ということ。会場をどのような空気で包みたいか? 会場にどのような印象を持ってもらいたいか? それをコントロールできれば、あなたはなんでもできる。

プレゼンテーションの「ムード」をチェックする有効な方法がある。ビデオカメラや携帯で自分のプレゼンを動画撮影し、音を消して再生してみるのだ。声や音のない中、表情やジェスチャーで、目指したムードが作れているかチェックするといい。フレンドリーやエネルギッシュ、ダイナミック、目指すムードはいろいろあるが、明らかにギャップがある場合、それをコーチングによって矯正していく方法がある。

コミュニケーションはスポーツ、身体的活動(フィジカルアクティビティ)である。声も表情もジェスチャーも身体的なものであって、そのすべてを駆使して、目指すムードを作り上げる。犬とのコミュニケーションを考えてみて。犬は人が何を言っているかはわからないが、人の声の調子に反応する。コンテンツは関係ない。犬にさえ、理解されるような、本能的に訴えかけるコミュニケーションが重要なのだ。

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