中韓に加え米国も圧力、靖国参拝後の神経戦

強行された靖国参拝。今後支払う代償は小さくない

(AP/アフロ)

暮れも押し詰まった昨年12月26日、安倍晋三首相による靖国神社参拝は国内外に大きな衝撃を与えた。さらに驚きをもって迎えられたのが、米国の在日大使館が当日午後に「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米国政府は失望している」というコメントを出したことだ。米国国務省の報道官も同様の声明を発表した。

米国は安倍首相周辺の言動などから、年末に参拝がありうるという予想はしていた。「菅義偉官房長官もワシントンに密使を送り、参拝時の米国側の反応について瀬踏みしていた」(米国の外交筋)。こうした兆候を踏まえ、練り上げられたのが「失望」という表現だったのだ。

安倍政権の下で日本のナショナリズムが暴走する可能性は、オバマ政権にとって頭の痛い問題だった。小泉純一郎元首相と違い、安倍首相は歴史修正主義者なのではないかと警戒していたためだ。昨年3月の安倍首相訪米時にも、共同記者会見を開かないなど、オバマ大統領の対応は慎重なものに終始した。

しかし、さまざまなルートを通じた働きかけの結果、「昨年6月の段階で、ホワイトハウスは『アベの封じ込め』に成功したと判断した」(米国政府関係者)。与党内の政治力学やメディアによる批判も、安倍首相を十分牽制できると踏んだのである。

そのため、昨年夏以降は米国は日韓関係の改善に向け、日本批判を繰り返している韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の説得に力点を移した。しかし、米政府内にも異論はあった。中国と対峙する米軍の内部からもそうした声は漏れている。

昨年9月、在韓米軍のマーク・ディロン参謀副長は「安倍首相による集団的自衛権への言及は東北アジアに緊張をもたらしている」と記者団に漏らしている。また、米太平洋軍司令官のサミュエル・ロックリア海軍大将も、尖閣諸島防衛に関する自衛隊との協議には慎重な姿勢を見せていた。それによる中国の反発を懸念してのことだ。

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