ドラクエ無料アプリに学ぶ、「捨てる決断術」

1日100万ダウンロード!稼ぎたいなら「急がば回れ」

業績不振の責任をとり、スクエニ社長を退任した和田洋一氏(右)。後任には松田洋祐氏(左)に(2013年3月、撮影:尾形 文繁)

前回のコラムでは、ミクシィの朝倉祐介社長との対談を通じ、「成功体験を捨て、改革をすることが、どんなに大変か」を見てきた。おかげさまで、かなりの好意的な反響を頂戴したし、ミクシィの復活を願っている「厳しくも暖かい読者」が大勢いることがわかった。

さて、私のコラムはいつも唐突で恐縮だが、今回もいきなり質問をさせていただきたい。あなたは、もし「短期的に、しかも確実に稼げるビジネスチャンス」があった場合、どうするだろうか。稼げる確率がほぼ100%だとわかっていても、それをあえて見送る「急がば回れ」の決断ができるだろうか。それが今回のテーマだ。

とりあげる材料は、スクウェア・エニックス・ホールディングスの、あの超人気ゲーム「ドラクエ」(ドラゴンクエスト)シリーズについてである。任天堂やソニーと黄金時代を築いたスクエニも今は昔。なんといまや赤字会社なのだ。同社が立ち直れるのかどうかも含め、ゲームに興味のない読者の方も、ぜひここでやめず、読みすすめていただきたい。

衝撃的だった、超人気ゲームの無料配信

「ドラクエ」シリーズは、1986年に開発された「国民的な人気ゲーム」である。シリーズを買って、何年も楽しんだ人も多いだろう。今回、同社は、2013年の11月末、この超人気コンテンツ「ドラクエ1」を、スマホアプリで限定無料配信を始めた。すると、なんと、なんとたった1日で、100万人以上ものユーザーが殺到したのだ。

ドラクエを知らない方は、「?」かもしれないが、筆者は「えっ!本当にただでいいの?」と心の中で叫びつつ、熱中した少年時代を思い出して、ついついダウンロードしてしまった。だが、冷静に考えると、ドラクエという、「有料でも一定のユーザーが見込める「ドル箱」」を、あえて無料開放する(ゲーム内での課金もゼロ)のは、実はそう簡単な意思決定ではなかったはずなのだ。

同社の「目先を追わない決断に見え隠れする」狙いとは?年末年始くらいは、子供時代を振り返りつつ、「ユニークな決断」と「マーケティングの格好の題材」として、読者の皆様と一緒に考えていければ幸いだ。

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