氷河期世代の転職は「今」が絶好のチャンスだ 正社員の有効求人倍率は1倍を超えている

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一方、仕事の内容ではどうでしょうか。正社員になってみたら予想より大変なこともあるでしょうが、非正規で継続的に何年も働いてきた人の多くはその業務をこなせることと思います。

ここでは非正規から正社員になった場合を比べましたが、正社員の人が違う会社の正社員に転職し、年収アップを勝ち取った場合にも似たような効果は期待できますから、経済的には数千万円以上のアドバンテージがあると考えられます。

非正規の待遇改善は時間がかかる

実は、非正規で働く人も正社員と同等の仕事をこなしているのであれば、正社員と同等の給与を得る権利がある、というトレンドもあります。いわゆる「同一労働同一賃金」の流れです。

「働き方改革関連法」としてさまざまな法改正がまとめて行われており、今後、順次実施されていきます。また、法律改正により明文化されたことによって、裁判所の判決にも変化が起き始めています。

近年の判例では、給与、賞与、諸手当はもちろん、退職金についても検討の範囲に含まれることが示され始めています。これから徐々に、非正規であろうと正社員と同様の給与や諸手当をもらったり、社会保険料を納めなければならなくなったりしていくことになるでしょう。

しかし、「何年か先」の「どれだけ実現するかわからない」非正規の条件向上を待っているより、「今、目の前」にある「正社員になるチャンス」や「より年収の高い正社員になるチャンス」を手にしたほうが確実だと思います。

人材不足は、日本全体で当面継続する現象だと思われますが、一方でAIやロボットの普及もどんどん進むため、油断はできません。

一般論としては、正社員の有効求人倍率が1.0倍を超えている状態があまり長く続くと考えないほうがいいでしょう。どこかで景気が大きく腰折れすれば、一気に倍率が下がることも考えられます。

そうなると、団塊ジュニア世代にとって、今目の前に起きている転職市場の活況は、人生最後のビッグチャンスになるかもしれないのです。

非正規である場合は正社員に、正社員である場合は今より年収や待遇のよい企業へ転職を考えてみるといいでしょう。このコラムを読んだら、スマホを開いて転職サイトへ情報登録してみてください。今ならチャンスがあります。

20年後になってみて、「あのときに決断を急いでよかった」「あの後にはチャンスがあまりなかった」と振り返ったときの分かれ道が2019年になるのかもしれません。

山崎 俊輔 フィナンシャル・ウィズダム 代表 ファイナンシャルプランナー

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やまさき・しゅんすけ / Syunsuke Yamasaki

1972年生まれ。中央大学法学部卒業。企業年金研究所やFP総研を経て2001年独立。全国紙などで連載。著書に『普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門』など。

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