採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点 理解不足、話盛る…落とされる原因はこれだ

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面接では志望の強さも確認される。エントリーしている他社の選考状況を聞かれ、「内定が出たらどうするか」といった質問もある。

正直な学生は口ごもり、目が泳いでしまうかもしれない。なかには「御社は第1志望ではありません」と口走る学生もいるだろう。正直は美徳だが、こういう学生が内定を得るのは難しい。企業が抱える採用課題の1つに「内定辞退」があり、そういうリスクのある学生を避けたいと考えているからだ。

面接で当社への入社意思が5割以下と発言されると、正直採用しにくい」(300人以下・サービス)

「自社が第1志望でない場合に、それを素直に言ってしまう。または、態度で表してしまう学生」(300人以下・情報・通信)

これらの質問に対して明確な意思を示す必要はない。なぜなら「〇〇になったらどうするか?」という仮定の質問だからだ。仮定の質問に対しては「いま一生懸命就職活動をしており、内定をもらったことがないのでわかりません」くらいの回答でいいはずだ。

準備不足で回答がずれている学生

面接は質問と回答で成立する会話である。会話はキャッチボールに似ており、一定のテンポで進行する。ところが、会話が成立しない学生がいる。面接官の質問を正しくキャッチできないので、トンチンカンな方向に言葉を返してしまう。

「質問内容に対しての回答内容がずれている、または自信なく曖昧な回答が多い」(300人以下・金融)

「こちらの質問に対し、回答がずれている学生や、礼儀に難のある学生」(1001人以上・情報・通信)

「こちらからの質問に対して、ズレた回答をする学生。自分の学んだことに拘泥しすぎる学生」(301~1000人・商社・流通)

回答がずれる原因は焦りや上がり、慣れない面接で落ち着きを失っていることなどが考えられる。しかし、人事のコメントを読むと、そういう心理面の動揺ではなく、就活の準備不足が大きな原因のように思える。

社会人に必要な能力は、主体性、規律性、ストレスコントロールとさまざまだ。しかし、「働く」ことは、つねに人と一緒に行動することだから、根底にあるのはコミュニケーション力と言ってもいいだろう。面接官は学生との面接を通じてコミュニケーション力を測っている。

学生のコミュニケーション力が高ければ、面接ルームは快活な雰囲気に包まれる。反対にこの能力が低いと評価の対象から外される。

「コミュニケーション力が低い。人柄が悪い。暗くて、後ろ向き。企業・業界研究が甘い」(300人以下・マスコミ・コンサル)

「話が長いだけで、中身が伝わってこない」(301~1000人・メーカー)

「簡潔・明瞭に話せない(コミュニケーション能力不足)。自分自身が成長していきたいという、成長意欲が乏しい」(1001人以上・情報・通信)

コミュニケーション力は総合的な能力なので、筋トレと違って、それ自体を鍛えるのは簡単ではない。相手の話をよく聴き、内容を理解し、相手の立場を自分の立場に置き直して考え、言葉を見つけなくてはならない。

しかし、上記のコメントに挙がった学生は主体性に欠け勉強不足だといえる。ダラダラと話し、適切な語彙が使えない。コミュニケーションの基本ができていないので落とされる。

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