「携帯料金の滞納」で結婚や就職が不利になる日 中国で普及「信用スコア」は日本でも広がるか

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(1)身分特質:学歴や職業・居住地域など
(2)履約能力:金融資産や不動産、自動車などの資産の保有状況
(3)信用歴史:クレジットカードや公共料金の支払いなどの一般的なクレジット履歴
(4)人脈関係:SNS上の交友関係、友達の数・質(友達のスコア)など
(5)行為偏好:アカウントのアクティブ度合、アリババでの購買頻度など

買い物で上がり、支払い遅延で下がる

スコアを上げるためには、アリペイを使って頻繁に買い物をしたり、クレジットカードや光熱水費などの支払いを滞りなく行ったり、スコアの高い友人が多くいることなどが必要となる。

反対に、支払いが遅延したり、レンタカーやシェアサイクルの返却期限を守らないといった信用に欠ける行動をとったりすれば、スコアは下がる。

スコアは、最低350点、最高が950点で、一般に700点以上で「極めて良好」とされる。600点以上になると、空港で優先レーンを利用できたり、ルクセンブルクやシンガポールのビザの取得が容易になったりするほか、レンタカーやホテル予約時のデポジットの免除など、さまざまな特典が与えられる。

消費者はこうした直接的なメリットだけでなく、デポジットが免除されることによって、サービス利用時の受付時間が大幅に短縮されるなどの間接的なメリットもある。

消費者側だけではない。スコアの提供を受ける企業は、問題を起こしそうな(=信用度の低い)消費者をあらかじめ選別できるようになる。つまり、スコアの低い消費者には、サービスを提供しないという選択肢が与えられる。

必然的に、消費者は不正利用や信用に欠ける行為によるスコア低下を避けようとするため、ルールに則った利用を自発的に行うようになる。

芝麻信用の開始から約2年後の2017年3月に公開された芝麻信用の運営レポート「全国城市免押報告」 によると、レンタカーサービスの場合、以下のような目覚ましい効果があったことが報告されている。

・料金の踏み倒し:52%減
・規約違反による罰金の踏み倒し:27%減
・レンタカーの紛失率:46%減
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