なぜマクロミルはファンドに買われるのか 創業者の杉本哲哉・会長兼社長が語る
――なぜベインキャピタルのTOBを受け入れるのか。
2009年に社長に復帰した当時、ネットリサーチ業界は早くも成熟し、廉売競争が始まっていた。このまま進んでいくと業界全体がおかしくなる。そこで、ヤフーの社長だった井上雅博さんと話をして同グループのヤフー・バリュー・インサイトと経営統合しました。今期は電通の関連会社も連結に入れたことで、マクロミルは250億円ぐらいの売り上げ規模になります。サイズだけをみれば2009年に売り上げ70億円だった会社が4倍近くまで大きくなったわけです。
その間に海外展開も進めてきました。韓国には当社の子会社、マクロミルエムブレインがあります。韓国トップのネットリサーチ会社で現在、KOSDAQへの上場を準備しています。中国にも拠点があり、アジアでの展開を進めています。
成熟した国内で業界再編を自ら進める一方、新規事業の育成や、海外では環太平洋への展開を進めてきた。こうした作業を進める中で、1年半ほど前から、上場したままで会社を成長させるか、いったん非上場化して進めるのか検討を続けていました。
ベインは銀行に紹介してもらった
――水面下で非上場化の研究を進めていた、と。
常々、非公開化したいなんて外に向かって言っていたら大問題ですよね。株価にも影響する。実際、外には一切話をしなかった。
ただおもしろいもので、私たちが非上場化したい、と考えているタイミングに、外からいろいろな話が来ました。パートナーになりたいという会社もいくつか現れたので話をしましたが、「帯に短し、たすきに長し」でうまくいかない。そこで、みずほ銀行からベインキャピタルを紹介してもらいました。私たちはすでに非上場化のシミュレーションをしてきたので、話は早かった。ベインさんもスピーディーにデューデリジェンス(資産査定)を進めてくれたので、2カ月くらいでまとまりました。
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