堀ちえみの舌がんが早期発見できなかったワケ 「痛みがなく治らない口内炎」は要注意だ

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「舌がん」であることを発表したタレントの堀ちえみさん。写真は2007年11月、都内でオーディオブック「ごめん。~届かなかった手紙~」の公開朗読を行った際(写真:時事通信)

タレントの堀ちえみさんが、ステージ4の「舌がん」であることを自身のブログで公表し、舌がんをめぐる話題が急速に広まっている。

舌がんは稀(まれ)ながんだ。こんなに話題になったのは、おそらく初めてだろう。このことを検証するため、新聞記事のデータベースである「日経テレコン」を用いて、2009~2018年の間に大手5紙(朝日、読売、毎日、日経、産経新聞)に掲載された「舌がん」という単語を含む記事数を調べた。10年間の記事数の合計は489だった。つまり、各紙は平均して月に1つ弱の記事を掲載していたことになる。

堀さんの件で状況は変わった。2月19日に彼女がブログで病気のことを告白して以降、連日のようにメディアが報じている。この文章を書いている2月21日現在、記事数の合計は11だ。産経新聞に至っては毎日何らかの記事を掲載している。

医学的にも舌がんの情報は少ない

舌がんに関する「記事数」が少ないというのは、医師でも同じだ。専門家にとって「記事」とは学術論文のことを指す。学術論文を介して、最新の情報をシェアする。

アメリカ医学図書館のデータベースを用いて、検索したところ、「舌がん」という単語をタイトルに含む論文は過去に695報しか発表されていない。水泳の池江璃花子選手が発症して話題となった白血病については、「白血病」という単語をタイトルに含む論文は11万8361報も報告されている。実に170倍だ。

舌がんに関する情報は、一般社会は勿論、医師の間でも充分にシェアされているとは言いがたい。このような状況では、しばしばミスや誤解が生じる。

例えば、「堀さんの舌がんを医者が見逃した」という指摘だ。確かに、堀さんのブログを読めば、そう解釈するかもしれない。

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