見えてきた資本主義の限界、寿命はあと何年か 新興国の成長率は10年後、3%にも満たない

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また、近年は、テロ組織がアフリカに拠点を移しつつあるようです。その背景には、先進国の軍隊による駆逐作戦を受けたテロ組織がアフリカに逃れている、ということがあります。

見えてきた、資本主義の限界

だから、日本の企業が本当にそういう場所に行っていいのかは、企業の経営者が「人の命の重さ」を見るのか「利益」を見るのか、という話になると思います。

グローバル企業が最後のフロンティアであるアフリカ全土に進出し、アフリカが高成長を達成して人件費が上がってくると、すべての伸びしろを失うことになります。このとき、資本主義の限界がはっきりと見えてくることが避けられないでしょう。

これ以上、安い労働力が手に入らない状況になったとき、資本主義はその成長の原動力を失ってしまうのです。おそらく、これから20〜30年以内に、資本主義の限界が意識されるようになるのではないかと思います。

実際、新興国・途上国の成長率についても、10年後にはおそらく3%にも達していないでしょう。その結果、世界経済の名目成長率は、20〜30年以内には1%未満、あるいは0〜1%の範囲内に収まってきてもおかしくない、と考えるのが自然な流れだと思います。

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

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なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

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