中国の防空識別圏の設定が、北東アジア全体に、大きな波紋を投げ掛けている。国際的な常識でみても、違和感があり、疑念を与える中国の動きである。
通常は、防空識別圏の決め方は、相手国に対してあらかじめ折衝を行うのが常識である。本来、主権の及ばない地域で相手機に対して確認ができない場合にのみ、スクランブルをかける権利を担保するのが、本来の防空識別権の考え方のはずだ。
なぜ防空識別圏は、急に浮き彫りになったのか?
一般的な感覚でいえば、今回の中国側の一方的な発表は、中国が挑発を繰り返していると取られても仕方のない行為だ。今回は、日本だけでなく韓国も怒りと驚きをあらわにしている。中国が、韓国の南西部にある離於島(イオド)を一方的に自国の防空識別圏に含めたため、韓国が見直しを要求したが、中国は拒否。朴政権は、習近平政権との蜜月ぶりを強調してきたがいきなり冷水を浴びせられるとともに、自国のメディアからも「後ろから撃たれた」「中国を信用しすぎた」などといった「中国警戒論」が出る始末だ。
一方、米国機は中国が今回発表した防空識別圏内にすでに入っており、その直後、日本の自衛隊機も海上保安庁の航空機も、相次ぎ飛行を実行した。その後、何ら大きな問題は起きなかったことから、「なし崩し的な、一方的防空識別権は認められない」との認識が関係国に広がった。
中国政府は、面子をなくした格好だが、それでも中国は強気の姿勢を崩さない。
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