甘利明TPP担当大臣が、12月に入って(5日)、記者会見で自らが「早期の舌がん」であることを発表した。2週間ほどの入院治療とその後の1~2週間の自宅治療で職務に復帰できると診断されたのだという。
環太平洋経済連携協定(TPP)を巡る交渉は、特に日米間で大詰めを迎えている。その担当閣僚として激務をこなしていた甘利明TPP担当大臣の心労は、察してあまりある。当然のことながら、「激務によるがんか」と考えられた向きも多いのではないかと思う。
金融資本主義を維持しようという勢力
だが、私は違った。「またか」と思ったのである。無論、私は直接、甘利明TPP担当大臣に事の真相を質したわけではない。しかし「いよいよ交渉も大詰め」となり、言ってみれば政治家として一世一代の大勝負に出ることのできる瞬間に、「舞台から降りる」ということがあるのだろうか。しかも、結果的に断念されることになったものの、「年内妥結」に向け、あまりにも重要なタイミングで「疾患」が発見されたというわけなのである。「できすぎた話だ」とまず思ったのは、私だけではないはずだ。
米欧の「グローバル・エリート」たちは、グローバル・マクロ(国際的な資金循環)を廻し続け、それによって金融資本主義を維持しようとしている。当然、その行く手を遮るものが、突如として現れることはままあることだ。
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