「スプラトゥーン」の中毒性が極端に高い理由 家族の絆をも壊すその特殊なゲーム設計
そして、他のプレーヤーが装備しているギアは「スパイキー」に注文することで自分も同じものが手に入るのだが、これは「リテンション効果」を生む仕組みになっている。
スパイキーへの注文は1日に1回しかチャレンジできない。これは「機会損失の回避」という非常に強い人間の欲求に作用し、1日1回必ずチャレンジすることをプレーヤーは自ら望んで行う。
「ゲーム障害」当事者の家族が疑問に思う「なぜ毎日スプラトゥーン2をやるんだろう?」の答えの1つは、毎日立ち上げないと損をするからなのだ。
そして、この1日1回のチャレンジはガチャと同じ仕組みになっており、ソシャゲのガチャ同様、ほとんどの場合が望んだものが手に入らないので、強力なギアである「特級品」を手に入れるには膨大な時間が必要となる。
確率的にいちばん有利な状態のランク20以上のプレーヤーが、「特級品」を入手できる確率は0.5%。これは、100日間毎日チャレンジしても60%の人が1回も特級品が出てこない計算になる。1年続けると86%の人が「当たる」ことができるのだが、この「外れる」行為も「中毒性」に強く作用する。
これは行動主義心理学の基本的な理論である「オペラント条件づけ」でも明らかなのだが、動物は任意の行動に対して100%の結果が得られるものより、一定の確率で失敗もする行動のほうが、その行動で感じる「快感」が強まる。
ゲーム内通貨をコツコツ貯め、いいギア(装備)を見つける=100%の確率で特級品が手に入るというシステムよりも、A級品や特級品を手に入れるためには膨大な失敗が必要という仕組みのほうが、動物である人間はその行為に執着してしまうのだ。
仕事中もスプラトゥーンから離れられない
さらにスマホと連動した「ゲソタウン」というシステムが「中毒性」と「リテンション効果」を共に高める。
スマホ用の「Nintendo Switch Online」アプリでは、時間限定で高性能なギアを配信している。これを購入することで、ゲーム中でスパイキーからそのアイテムを受け取ることができるのだ。
この「ゲソタウン」はスマホでアクセスできるため、プレーヤーはゲーム機を持っていない状態でも、期間限定のアイテムのために「スプラトゥーン2」というコンテンツに定期的に接触する。
そして、帰宅後は注文したアイテムを受け取るために「スプラトゥーン2」を立ち上げるという、中毒状態を途切れさせない仕組みと、ゲームができる環境になり次第立ち上げさせるというコンビネーションが完璧にでき上がっているのだ。
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