ゲーム好きから酷評の嵐「Fallout76」の弱点 それでも僕らが「プレイを止めない」理由

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不安定なサーバーや、ゲームが突然落ちる頻度は、稼動直後と比べれば改善してきてはいるが、まだまだ安定したとは言えない。だが、発売当初に比べれば、わずかではあるが所持重量も増えたし、便利な機能も増えて、かなり快適に遊べるようになった。

ゲームそのものが「空疎」だ

しかし、いくらアップデートされても、今後、治るかどうかわからないものがある。それは「ゲーム全体に漂う空疎さ」である。現状、Fallout76の舞台では、プレイヤー以外の人間や、話や交渉できるような相手というのはほとんど存在しない。NPC相手であっても、会話のできる人間がいないことが、空疎な空気を作っている。

たしかにポストアポカリプスの空気として、人間がいなくなった後の空疎な世界というのはありだとは思う。しかし、世界が空疎なのと、ゲームそのものが空疎なのとはまったく違うはずだ。

プレイヤーは「荒廃したアメリカを復興する」という漠然とした目的の過程で、かつて人々が活動していた足跡に出会う。それまでに学んだ専門知識を生かして人を助けようとする人たちや、他人から奪って生き延びようとする人たち。核兵器が落ちる前から、堕落した政府と決別しようとしていた人たちや、強大な武力で核戦争後の世界に現れた異形の生命体を滅ぼそうとした人たち。そんな人たちが生きていた。

プレイヤーはアパラチア全土を歩みながら、核戦争後の25年間を生きた人たちが、さまざまな考え方で世界に新たな秩序を打ち立てようとした奮闘と失敗の歴史をたどることになる。

興味深いストーリーではあるが、みんな死んでしまっているので、彼らと実際に出会うことはない。メモや、情報ターミナル、そして音声が録音されたホロテープといった、彼らが過去に残した記述を基に、この世界で起きたことを想起していくしかない。

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