”介護ショック”が日本に襲いかかる どうするおカネと住まい

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介護サービスの9割は介護保険で、残り1割は利用者負担で賄っている。保険の財源は税金と保険料が半々。膨らむ一方の給付に対し、負担にも手をつけざるをえない。介護保険料は、00~02年度の1人当たり2911円から、12~14年度には4972円まで値上げされた。

介護保険の疲労は限界 求められる最期の住まい

さらに政府は今回、3度目の介護保険法改正で、抜本改革に着手。15年4月から、一定以上の所得がある高齢者を対象に、利用者負担を1割から2割に引き上げる方針だ。要支援者への介護予防サービスは市区町村に移す。「狙いは効率化と重点化。質が低下することはない」(厚生労働省幹部)というが、高齢者が利用を控えるなど、今後の懸念材料を指摘する声もある。

効率化と同時に政府が描くのは、住み慣れた地域で最期まで過ごす“地域包括ケア”だ。自宅に代わる新たな介護の住まいとして、近年注目されているのが、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)である。

サ高住が登場したのは11年10月。待機者が列を成す特別養護老人ホーム(特養)や、高額な入居一時金のかかる介護付き有料老人ホームと違い、安さと自由が売り。一時金なし、介護は外注で、月額費用が10万円を切る物件もある。1戸当たり最大100万円の補助金など国の政策誘導も奏効。今年10月までに13万戸を突破した。

従来の有老ホームも、一時金方式を月払い方式に変更したりと低価格化が進行、サ高住と区別しづらくなってきた。それでもターミナルケア(看取り)への注力などで、増える高齢者を取り込もうとしている。

「米国では健康時から介護時まで同じ敷地でケアを受けられるシニアコミュニティが2000カ所ある。日本でも高齢者への“施し”でなく、住民主導のモデルが必要」(松田智生・三菱総合研究所主席研究員)。

介護する者、される者。来るべき超高齢化社会を前に、高齢者と家族はどう対応すべきか。本特集では、介護保険改正の狙いや仕組みの解説、サ高住や有老ホームなど、新たな住まいのランキングを掲載した。参考にしていただきたい。

(週刊東洋経済2013年12月9日発売号)

大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。資産運用や相続、年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。大野和幸(X)

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