学問の下流化 竹内洋著

学問の下流化 竹内洋著

魅力的な書名だが、著者が近年、新聞雑誌に書いてきた100編余の書評、エッセイなどを再構成している。学問、格差社会、知識人、大学(特に東大)と大学改革、教養論をはじめ、いくつかのテーマに仕分けされていて、それぞれに現代的意義が伝わってくる。知識人では丸山真男を中心に蓑田胸喜(みのだむねき)、平泉澄(きよし)なども論じられ、別章での夏目漱石論までその流れで読むのも面白い。

教養論で興味を引くのはやはり教養主義の没落であり、かつ「邪魔する教養」が論じられるところだ。教養が邪魔して何かができないことが今ほど大事なときはないという指摘は鋭い。そして「学問の下流化」が通奏低音のように流れるのだが、下流学問とは要するにポピュリズムであり、ジャーナリズムや世論との相関が問われている。政治、学問の劣化の中でアカデミズムの復権は可能か、注目すべき視点である。本誌掲載の「読書日記」も収録されている。(純)

中央公論新社 1995円

Amazonで見る
楽天で見る

関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
50歳から考える<br>定年後の仕事選び

健康なら80歳まで働ける時代。60歳の定年からでも20年、50代で転身したら30年近くある。発想を変えれば、あなたの人生は変わる。生涯現役で働きたい人に役立つ情報が満載。