「ボヘミアン・ラプソディ」クイーン人気の軌跡 再評価される2大グループの知られざる功績

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『クイーン・グレイテスト・ヒッツ』は1981年リリースで、現在853週のチャートイン(12月6日現在継続中)で、約610万枚のセールスを記録。また10位にランクインしている『グレイテスト・ヒッツII』も約400万の売り上げで、イギリスではベスト盤2枚で1000万枚を売った計算になる。尚、1981年当時はまだCDは製造されていなかったため、アナログ・レコード売り上げ枚数も加わっている。

一方、『アバ・ゴールド』は1992年のCDリリースで、現在865週のチャートイン(12月6日現在継続中)で約520万枚のセールスを記録。

また、全世界的にみると『クイーン・グレイテスト・ヒッツ』は約2750万枚で約550億円(仮に1枚2000円で計算)、『アバ・ゴールド』は約3000万枚で約600億円となり、ダウンロードやストリーミングなどを加算すると、もはや正確な計算は不可能な領域に達する。

ちなみにアメリカではベスト盤はあまり売れる傾向にはないとはいえ、『クイーン・グレイテスト・ヒッツ』は現在までに800万枚『アバ・ゴールド』は600万枚売れている。(RIAAによるデータ)

どちらの作品も発売からかなりの時期が経過しているが、まだ売れ続けているということは、移り変わりの激しい音楽界においては稀有なことだ。これまでずっと話題が途切れることなく、また、曲のよさが世代を超えて評価されているという証拠でもある。レコード会社からすると彼らのカタログはまだまだ「宝物」であり、この2枚のベスト盤の戦いはまだ続くだろう。

「ジュークボックス・ミュージカル」でも熱い戦い

ミュージカル編

また両者はオリジナル曲で構成される「ジュークボックス・ミュージカル」でも熱い戦いを繰り広げている。

ジュークボックス・ミュージカルの草分けとなったのは、1999年4月にロンドンのウエスト・エンドで初上演された、アバの曲を使った母と娘の物語『マンマ・ミーア!』だ。コメディ・タッチのストーリーで、誰もが知っているアバのヒット曲が絶え間なく歌われるミュージカルということで、瞬く間に世界中に広がっていった。

『ウィ・ウィル・ロック・ユー』と『マンマ・ミーア!』(写真:筆者撮影)

現在まで21カ国語で翻訳され、6大陸、50カ国以上で上演。6000万人以上が観劇、全世界で約20億ドルの収益を上げている。現在でも7つのプロジェクトが同時進行で、2020年上演予定日まで決定し、チケットもすでに発売されている。

日本では劇団四季のミュージカルとして2002年、東京電通四季劇場で初演。その後大阪、福岡、名古屋、広島、静岡、仙台、札幌でも上演され、2016年10月には日本通算公演回数3000回を達成、267万人を動員した超ロングラン公演だった。

一方、『ウィ・ウィル・ロック・ユー』はクイーンのヒット曲をモチーフにした300年後の地球を舞台にしたSFミュージカル。こちらは2002年5月、同じくロンドンのウエスト・エンドでスタート。その後も上演を重ねて2014年5月に終了。4600回を数えるロングラン公演であった。全世界的にはこれまで16カ国1600万人が見たミュージカルである。

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