男女で「セクハラ感覚」がズレまくる根本背景 中川淳一郞×治部れんげが徹底的に語る
経済誌記者時代に感じた大きな違和感
――「ジェンダー炎上」に関する治部さんの新刊は、一橋大学大学院で取り組まれた修士論文を基にしたそうですが、お2人は一橋大学の同級生だそうですね。
中川:もともと大学の頃から治部さんを知っているんです。昔からプライベートな話もする仲で。だから治部さんが雑誌やネットで「ジェンダー」や「フェミニズム」について語るのを見た時に、本当にビックリして。俺、知らなかったの。そういう分野に関心があったことを。
治部:20年前の私は、それこそ下ネタも辞さないような「小娘の皮を被ったおじさん」だったからね(笑)。ジェンダーの授業は、大学時代に受けてはいました。でも新卒で入社した出版社では、上司は全員男性だし、取材先も多くは男性。飲み会で男性の不倫話を聞くことも仕事のうちだと、本気で思っていたんですよ。
そんな過去があるから、昨今の企業CMの炎上を見た時に、CMや企業を批判している人たちと自分の感覚は少し違うと感じたんですね。「ジェンダー炎上」を起こす人の気持ちもわからなくないというか。男社会でなんとか戦えていると思っていた、20年前の私のような人がそのまま管理職になると、「炎上」を起こすんじゃないかって。
中川:治部さんは経済誌の記者をやりながら、どこかのタイミングでジェンダーの違和感があったんだ。
治部:いわゆる「女性の視点」の記事を要求されることが、すごく嫌でしたね。「女性の視点」を端的に言うと、経済の話に明るくない女性に向けてややレベルを落として書くことなんです。女性が下に見られる感覚というのかな。
あと男性が接待される場に、女性の私が来てしまった時の「場違い感」。女扱いされることも嫌なのだけど、女性の方にひざをついてお茶を出されたり、家電の見本市でコンパニオンの女性に懇切丁寧に説明されたりした日にはもう……。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら