PayPayが「100億円あげる」に踏み込んだ真意 ソフトバンクがスマホ決済に探る鉱脈

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とはいえアツいのはうちの家族ぐらいかと思ったところ、そうでもないのが今回のキャンペーンの影響力のすごいところです。私の親しい友人もすでに25万円の上限枠を使い切ったと言っていました。ネット上でも「こんなにたくさん家電を買ったのは久しぶりだ」という投稿があふれています。PayPayが使えるお店がファミリーマート、居酒屋と家電量販店に偏っている関係で「まずは家電を買おう」という方向に消費者が走ったもようです。

PayPayについて3つの疑問

さて、今回の記事ではこのPayPayについて3つの疑問にお答えしたいと思います。

① PayPayって何? どのように使うの?
② なぜソフトバンクはPayPayの利用者にこれだけ還元してくれるの?
③ 今回のキャンペーンでいったい何が起きるの?

の3つです。まずは最初の疑問から。

PayPayっていったい何で、どのように使うのかという話から。PayPayはスマホ決済というキャッシュレス決済の方式のひとつです。これまでキャッシュレスというと日本ではクレジットカードか、ないしはSuica(PASMO)、nanaco、WAONといった非接触型カードによる電子マネーが主流でした。しかしお隣の中国ではアリペイやウィーチャットペイというスマホによる決済が広く普及しています。そして今回のPayPayもこのスマホ決済という支払い手段なのです。

PayPayの登録準備は比較的簡単です。スマホ上でPayPayのキャンペーンページなどを見つけてそこからアプリをダウンロードするか、Yahoo!にログインしてそこからウェブページ上で登録すればすぐにPayPayは使えるようになります。支払い準備も銀行口座からお金をチャージするか、クレジットカードを登録すれば準備完了です。

ちなみに初めの登録で500円、ソフトバンク、ワイモバイル携帯のユーザーはさらに支払い設定をすれば500円がもらえるということで、私の場合、使うための設定をするだけですでに1000円がもらえてしまいました。

実際のPayPayを使った支払い方法は、中国で広く普及しているアリペイやウィーチャットペイとほぼ同じです。ビックカメラのレジの場合、レジ横にQRコードが表示されているのでそれをPayPayのアプリで読み取ります。そうするとビックカメラでの支払い画面が表示されるので、支払い金額を打ち込んで支払いボタンを押して店員さんにそれを見せればいいのです。

実は中国ではこの「レジにQRコードを貼っておけばいいだけ」という簡単さが利点となってアリペイなどのスマホ決済の加盟店が急速に増えました。小龍包を売っている屋台でも簡単にスマホ決済を始められるのです。お店が非接触型のカードリーダーを設置しなければ加盟店になれない電子マネーとここは大きく違うところです。

さて、2番目の理由に移りましょう。なぜソフトバンクは今回、このような大盤振る舞いのキャンペーンを始めたのでしょうか。実はソフトバンクグループにはこれと同じキャンペーンでの成功体験があります。それがYahoo!ショッピングで行われてきたTポイントの大盤振る舞いキャンペーンです。

これは2015年ごろ、日本のECシッピングモールでほぼ一強状態だった楽天市場から顧客と出店企業をどちらも奪う目的でヤフーが行った過去最大級の大盤振る舞いキャンペーンでした。

次ページ大盤振る舞いで、顧客も出展企業も取り込む
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