水道民営化促進で内閣府に出向した人の正体 7日成立予定の改正水道法に不透明な背景

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ちょうどその頃、産業競争力会議も「成長戦略進化のための今後の検討方針」を決定。「観光振興や人口減少等の地域的、社会的課題に対する公共施設等運営権方式を含めたPPP/PFI の活用方策を検討するとともに、 積極的な広報活動や地域の産官学金による連携強化等により、広く地方公共団体や民間等の関係者の理解促進や機運醸成を図る」とPPP/PFI導入の本格的取り組みを宣言した。

これを主導したひとりがパソナグループ代表取締役会長を務める竹中平蔵氏で、同氏が主導してPPP/ PFIの活用促進に向けた環境整備について検討した「産業競争力会議フォローアップ分科会」などには福田氏が参加していた。福田氏の補佐官登用も竹中氏の意向があったと言われている。

内閣府は2018年2月9日、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案」(略称PFI法改正案)を国会に提出した。同法改正案は6月13日に成立し、8月1日から施行。水道法改正を待つばかりだったが、同改正法案は日切れ法案として継続審議に付された。

しかし臨時国会で水道法改正法案が成立することはほぼ確実で、そうなると水道事業の民営化に向けて本格的に始動するはずだったが、ここで思わぬ逆風が吹いた。外国でのひどい失敗例や、高いコストを負担して再公営化を進めなければならかったという事実が示されたのだ。

水メジャーの社員が内閣府の政策調査員に

そればかりではなく、不透明な問題も持ち上がった。そのひとつが上記の福田氏の突然の辞任であり、もうひとつがヴェオリア社の女性社員が内閣府の「民間資金等活用事業推進室」に政策調査員として2017年4月1日から2019年3月31日までの予定で出向していることだ。ヴェオリア社はフランスの多国籍水処理企業で、世界で上下水道の民営化を扱って成長してきた。この出向者の任期はまさに水道民営化のための審議の期間に重なっている。

これを明らかにしたのは11月29日の参議院厚生労働委員会で社民党の福島瑞穂参議院議員。

「もっともこの法案で利益を得る可能性のあるヴェオリア社、水メジャーですよね。まさにその担当者がPPP推進室にいる。これって受験生が採点者になって、自分の答案をこっそり採点しているようなものではないですか」

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