不登校児を救い「若者をつなげる」支援の裏側 否定せずに1人の人間として大人がかかわる

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:実際に、フリースクールやN高など、どこにいても勉強ができる環境づくりが進んできているなと感じますが、「学校だけが居場所じゃないよ」という理解が広がったことが背景の1つと見ているということでしょうか?

今井:そうですね。大きなパーセンテージは占めないかもしれませんが、それもあるかなと考えています。ただやはり、大きな要因としては人間関係の問題が大きいとは思います。いじめも認識件数がかなり上がってきていると思いますが、まだ対応しきれていないものもあります。

:いじめで言うと、からかいも含めていじめとしてカウントするなど、いじめの定義を広げてきたという背景もありますよね。逆に言うと、学校という枠組みの中で、そういう問題に対して対処しきれていないという状況もあるのでしょうか?

今井:そうですね。学校の先生方も対応する事項が増えたり、今までよりも短期間でしなきゃいけなかったりで、対応しきれないという事例も大きいと思います。家庭訪問も行きにくくなっています。

:どういうことですか?

今井:教育委員会の方から「長期労働の問題もあって、家庭訪問をするとかなり時間を取られるので、そこはなかなか対応しづらい」という話を聞いたことがあります。

:「認定NPO法人D×P」に通ってくる若者たちでは、どういう理由で不登校や引きこもりになったケースがあったのでしょうか?

だいたい原因は複合的

今井:千差万別ですね。不登校のケースで言うと、「授業に出なくてもテストの点数はほかの人よりもいい点数が取れるから、学校に行く必要がないんじゃないか」と話していた生徒もいました。親との関係性が響いて、親に反抗したいから学校に行かなくなったというケースもありました。いじめのケースでは、学校のクラスにいられなくなったというのはよく聞く話です。どのケースでも、単体の理由では不登校にならないのではないかと思っています。「人間関係で悩んでいてクラスに行きにくい中でも頑張っていたら、学校の先生が嫌いになって、結果的に学校に行かなくなった」という例もありました。

:学校の先生がうまくコミュニケーションを取れず、「こういう先生のところだったら、もう学校に行かなくていいか」ということもあるということですか?

今井:そうですね。もしくは、結果的に学力不振になってつまらなくなったから学校に行かなくなったということもありました。だいたい原因は複合的だと感じています。

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