「男の子にイラつく親」が知らない才能の本質 「男の子脳」の特質を活かせば後伸びできる

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いかがでしょうか? 「まさにうちの子だ!」と感じる人も多いことと思います。実は、脳科学によると、脳には「男の子脳」と「女の子脳」があって、こういった傾向の多くは男の子脳の特質のようです。そして、当然のことながら、一般的に男子は男の子脳の度合いが高く、女子は女の子脳の度合いが高いのです。でも、もちろん、個人差も非常に大きくて、男子でも女の子脳の度合いが高い子もいます。そういう子は、先述の手のかかる行動も少なくなるわけです。

また、女子でも男の子脳の度合いが高い子もいます。そういう女子は、先ほどの手がかかる部分もかなり持っています。女子の中にも「この子、ちょっと手がかかる。だらしがない。マイペースでぼうっとしている」という子はけっこういます。こういう女子は、男の子脳の度合いが高い女子なのです。

短所の裏返しは長所だと思って長い目で見てあげる

育てるに当たっては、男の子脳の子は手がかかることのほうが多いでしょう。でも、これらこそが、後で大きく伸びるための特質でもあり、やがてよいものに切り替わる可能性が高いのです。短所と長所は同じコインの裏表です。

たとえば、ちょろちょろ動き回って落ち着きがないというのは、行動力やアクティビティにつながります。乱暴で雑なのはエネルギッシュな活力につながります。やりたいことしかやらない、マイペース、空気が読めないなどは、主体性や独創性につながります。時間の観念がないとかチャンネル切り替えができない、などは集中力につながります。

このように理解すれば、「この子は手がかかるな。大変だな」と感じさせる子も許せるようになり、長い目で見てあげることができるようになります。

ですから、今後、子どものことで何か困ったときは、それが男子であろうと女子であろうと、キレて叱りつける前に「これは男の子脳のせいなんだ。後伸び、後伸び……」と心の中で言い聞かせるようにしましょう。困ったときは脳のせいにするのです。

これはカウンセリングや心理療法で使う技法の1つで、「問題の外在化」といいます。問題が子どもの中に内在すると考えるのではなく、子ども本人と切り離してその外部にあるものとしてとらえるのです。そうすることで、問題を客観視できるようになり、冷静に対処できるようになります。問題解決のための合理的な工夫を考える余裕も出てきます。

親や先生がこのようなことを理解していないと、男の子脳の子は子どものときずっと叱られ続けることになります。これが非常にまずいのです。叱られ続けることで自己肯定感が持てなくなり、自己否定感に凝り固まってしまうからです。つまり、「オレなんてどうせダメな子だよ。できないよ。がんばれないよ」と思い込むようになってしまうのです。こうなってしまうと、後で伸びる時期がやってきても、いまひとつ伸びないままになってしまう可能性があります。

男の子脳の度合いが高い子は、割り引いて見てあげる必要があります。小学生の場合は5歳くらい割り引いて見てあげましょう。私の経験ですと、小学6年生の男子と小学1年生の女子がほぼ同じ精神年齢と感じさせることが多いからです。

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