起業家の責務は「世界をより良くすること」 | 愚直に続けたから 成功した、ワケじゃない

愚直に続けたから 成功した、ワケじゃない
起業家の責務は<br />「世界をより良くすること」

起業家の責務は
「世界をより良くすること」

EOY2018日本大会
プレビュー

 

EOY2018日本大会
プレビュー

起業家の責務は「世界をより良くすること」
真剣勝負を勝ち抜いて、日本からモナコへ
 

過去にはジェフ・ベゾスも受賞

「世界一の起業家」を決定する「EY アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー(以下、EOY)」。過去にはアマゾンのジェフ・ベゾスやグーグルのサーゲイ・ブリンとラリー・ペイジ、スターバックス コーヒーのハワード・シュルツらも受賞。海外主要メディアも毎年取り上げるほど注目度の高いアントレプレナーを称える表彰制度である。

「世界一の起業家」は、約60の国と地域から選出されたアントレプレナーから選出されるが、その日本代表は12月3日、4日に東京ミッドタウンで開催される「EOY Growth Forum 2018 ~Stimulate the spirit~」のプログラムの中で決定する。日本代表の候補者であるファイナリストへの公開インタビューが行われるほか、急成長を遂げているスタートアップ企業の創業者やベンチャーキャピタリストによるパネルディスカッションなど、ビジネスを成長させるうえで課題解決のヒントとなるさまざまなセッションも設けられており、経営企画や事業開発部門に携わるビジネスパーソンには見逃せないイベントだ。

2017大会のパネルディスカッションの様子。
左から東洋経済オンライン山田俊浩編集長、JINS田中仁社長、日本交通川鍋一朗会長

「アントレプレナー精神」の真髄とは?

EOYは、BIG4の一角であるEY(Ernst&Young=アーンスト・アンド・ヤング)が1986年に創設。新たな事業領域に挑戦するアントレプレナーの努力と功績、経済や社会にもたらした貢献をたたえることを目的としている。イノベーションを起こし、新たな産業や雇用を創出したアントレプレナーにスポットを当てて国内外に発信するとともに、彼らを次世代のロールモデルとすることで、後進のアントレプレナーを輩出するためのプラットフォームとしても機能しているのだ。

表彰カテゴリーは、業界や市場を代表する存在でグローバルな影響力を持つ企業のアントレプレナーが対象の「Master Entrepreneur Of The Year 部門」と、革新的な技術やビジネスモデルで事業を展開し、今後さらなる成長が期待されるアントレプレナーが対象の「Exceptional Growth 部門」の二つ。その中から、来年6月にモナコで開催される世界大会(EY ワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー)に参加する日本代表1名が選ばれる。

2017大会で日本代表に選ばれたTKP河野貴輝社長。2018年6月にモナコで開かれた世界大会に出場した

審査で重視されるのは、「アントレプレナー精神」「企業価値の増大」「経営戦略の方向性」「成長可能性と影響力」「イノベーション」「社会貢献」の6項目。とりわけ注目したいのは「アントレプレナー精神」と「社会貢献」。成功へと導く「強い信念」と「強力なリーダーシップ」、そして「逆境をはねかえす強さ」を持っているかが問われるが、その一方で立ち上げた事業が社会にとってどのような意味があるのか、世界をより良くしているのかどうかも重要なポイントとなる。

日本のトップ起業家との交流も

今年、EOYのファイナリストに残ったのは14名。「Master Entrepreneur Of The Year 部門」では、トリドールホールディングス代表取締役社長の粟田貴也氏や大創産業創業者の矢野博丈氏など3名、「Exceptional Growth 部門」からはトップスイマーの水着を開発し世界水泳で金メダル37個獲得に寄与した山本化学工業代表取締役社長/CEOの山本富造氏や、コスメ・美容総合サイト「@cosme」などをはじめとする事業を国内外で展開するアイスタイルの代表取締役社長兼CEOの吉松徹郎氏など11名が選出されている。

来年6月にモナコで開催される世界大会への切符を手に入れ、世界の未来を切り開く起業家たちとネットワークを築く特権を手中に収めるのは誰になるのか。

文:國貞文隆

Master Entrepreneur
Of The Year 部門

粟田貴也氏

粟田貴也
株式会社トリドールホールディングス 
代表取締役社長

「丸亀製麺」など、店内調理にこだわる外食企業グループを経営。近年は、自社で開発できない魅力を持った他社開発業態もグループに加えるなど、積極的にM&Aを実施。世界39の国と地域で1605店舗(国内1056、海外549)を運営(2018年9月末時点)。

齊藤 寛氏

齊藤 寛
株式会社シャトレーゼホールディングス 
代表取締役会長

契約農家から食材を直接仕入れ、日本の自社工場で製造して店舗に直送する「ファームファクトリー」や「工場直売システム」などのビジネスモデルを約30年かけて確立。現在、国内520店、海外60店を展開する菓子事業のほか、ワイナリーやリゾートホテルも運営。

矢野博丈氏

矢野博丈
株式会社大創産業 
創業者

100均業界の売上シェア56%を誇る「DAISOダイソー」を手掛ける。99%がPBで、毎月800アイテムの新商品を開発するほか、今でも年間150店舗以上の出店を継続。現在、国内約3300店舗、海外27カ国に約2000店舗。生活インフラとしての地位を確立しつつある。

Exceptional Growth 部門

岡村恒一氏

岡村恒一
株式会社オカムラ食品工業 
代表取締役

魚卵・サーモンを原料から加工・販売までワンストップで提供。積極的なグローバル展開で、外食産業の「不安定な原料供給」「慢性的な人手不足」「不効率なサプライチェーン」問題の解決に取り組む。2014年から青森でサーモン養殖を実施し、地域活性化にも貢献。

木村隆夫氏

木村隆夫
木村情報技術株式会社 
代表取締役

Web講演会のパイオニアとして年間1500回、延べ50万人の医療関係者に医療情報を配信。配信シェアは業界トップレベル。2016年からはAIのビジネス活用事業に着手し、2018年現在60社以上にAIサービスを導入。今後AI活用のプラットフォームビジネスを展開予定。

重道泰造氏

重道泰造
株式会社アイグラン 
代表取締役

2001年から民間企業としていち早く保育サービス事業に着手。現在、全国39都府県に350の保育施設を展開し、5期連続で前年比130%以上の伸び率を達成。認可保育園でも延長保育や一時保育、病児病後児保育、休日保育など民間ならではのサービスを提供している。

白石徳生氏

白石徳生
株式会社ベネフィット・ワン 
代表取締役社長

企業の従業員に向けた福利厚生として、優待サービス「ベネフィット・ステーション」を運営。培った経営資源を有効活用し、報奨ポイントサービスのインセンティブ事業、疾病予防サービスのヘルスケア事業、パーソナル事業など、多角的な事業を展開している。

土橋秀位氏

土橋秀位
株式会社クロスフォー 
代表取締役社長

つねに動き続ける宝石のセッティング方法を発明。「Dancing Stone」として特許も取得し、10年連続で日本ジュエリーベストドレッサー賞贈呈品として選ばれている。世界に向けてパーツ販売を行うことで、世界中のジュエリーメーカーと共生するビジネスモデルを確立。

>名越達彦氏

名越達彦
株式会社パネイル 
代表取締役社長

AIとビッグデータを利用した新たな電力需給プラットフォームとして、次世代型エネルギー流通基幹システム「Panair Cloud」を開発。2018年4月に東京電力エナジーパートナー株式会社との共同出資で株式会社PinTを設立。今後はインフラ事業全般のIT化を目指す。

樋口 龍氏

樋口 龍
株式会社GA technologies 
代表取締役社長

AI活用の中古不動産流通プラットフォームサービス「Renosy(リノシー)」の運営など、データドリブンでユーザー利便性の高い不動産サービスを提供。AIやブロックチェーンなどの専門組織を発足し、アナログな不動産業務の生産性向上と付加価値創造にも取り組む。

藤田哲也氏

藤田哲也
株式会社カンディハウス 
代表取締役社長

1968年に北海道旭川市で創業し、椅子を中心とした木製家具を製造販売。現在国内13店舗、世界20カ国・地域に展開。北海道の自然と日本の文化に育まれた美意識をデザインとものづくりに生かし、ロングユースの家具と「心地よい暮らし」を提案している。

松浦信男氏

松浦信男
万協製薬株式会社 
代表取締役社長

医療用医薬品から化粧品までスキンケア製品に特化して開発・製造・販売を行う製品アウトソーシングサービス企業。顧客は国内外に約100社。年間製造個数約3000万個、年間約50品目の新製品を発表。グループ会社国内外6社、社員数約1000名、総売上約80億円。

山本富造氏

山本富造
山本化学工業株式会社 
代表取締役社長/CEO

SCSという素材を開発し、2009年世界水泳で世界新記録の金メダルを37個獲得。トライアスロンのシェアは90%以上。福島原発事故で拡散したガンマ線を遮蔽する服を開発し人々の安全に貢献。2018年に世界初の体調改善機器を構築。今後海外展開も予定。

吉松徹郎氏

吉松徹郎
株式会社アイスタイル 
代表取締役社長 兼 CEO

「生活者中心の市場創造」をビジョンに、インターネットで集めた化粧品ユーザーの声をデータベース化してマーケティングや流通に反映させる仕組みを構築。コスメ・美容の総合サイト「@cosme」を核に、化粧品ECなど美容領域の多様な事業を国内外で展開する。