働きやすさNo.1 グーグル式チーム仕事術 | こんな働き方があってもいいじゃないか

働きやすさNo.1 グーグル式チーム仕事術

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いやなら自分で変えればいい

國貞 文隆(ジャーナリスト)
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グーグルの取材から浮かび上がってきたのは、これまで各連載で紹介してきた「働きやすくするための工夫」がすべて盛り込まれていることだった。社員たちが躊躇なく「最も働きやすい会社である」と認める、その評価のポイントはどこにあるのだろうか。
お話をうかがった方々
 山本裕介 プロダクトマーケティングマネジャー
 武内啓恵 YouTubeコンテンツオペレーション
      パートナー新規開拓マネジャー
 山口能迪 デベロッパー アドボケイト
 宮家かおり 広報部 シニア アソシエイト


「日頃の開発環境やインフラは最高」と語る山口能迪さん

グーグルの仕事は
世の中にインパクトを出せる

―――グーグルの働きやすさとは一体どんなところにあるのでしょうか?

山口 まず社内の雰囲気は非常にオープンです。普通の会社だとピラミッド構造で、位が高い人にはなかなか話しかけにくいかもしれませんが、グーグルでは誰でも聞きたいことがあれば、メールや“ハングアウト"(グーグルが提供するビデオ/テキストのチャットシステム)を使って、すぐに連絡がとれるため、仕事を進める上での垣根はほとんどありません。

武内 私も同じ印象ですね。グーグルに入って6年になるのですが、転職する際の面接のときから、皆さんが親しみを込めて話しかけてくださったり。当初からオープンで垣根なく交流している皆さんの姿が印象的でした。
 実際に入社した後も、いろんな部署の方から声をかけてもらいました。上司であっても単に上だという感じはなく、上下関係で動くというよりはフラットな組織だと思います。ミーティングで発言を求められたときでも、何でも発言していいという環境にありますね。

―――働いていて実際どんなところに充実感を感じるのでしょうか?

山本 世の中にインパクトを出せることに一番やりがいを感じますね。例えば、弊社のサービスを使ってもらって、ユーザーの方々の人生や生活がより良いものになる、という手ごたえを感じられることにやりがいを感じます。
 マーケティングでは常に数字を見ているので、私たちがリーチしたうち、どれくらいの割合の人が使ってくれたのか、どれほどの人が使ってみようと試みたのか、という数字を常に見ながら仕事をやっているので、それを見てやりがいを感じることがありますね。

武内 私はユーチューブの動画をアップロードしてくださる方々を増やす仕事をしているのですが、自分がいいと思うクリエイターさんに「お仕事、ご一緒にやりませんか」とお声掛けをして、実際にその方々がユーチューバー(ユーチューブで活躍するクリエイター)と言われるように成長していく過程を見たり、相互に提供し合うパートナーの関係として一緒にビジネスをして成長していくことにやりがいを感じますね。

山口 私はデベロッパーアドボケイトといって、社外技術者やパートナーの技術サポートをしているのですが、うれしいのは、グーグルが発表した新しい技術に対して、皆さんが興奮して「すばらしい技術だ」と喜んでくださるときです。
 また、我々の提供しているテクノロジーやサービスを使って、新しいビジネスを始めて成功している方々の、ビジネスの始まりから成功までの成長の過程をまぢかに見られること。しかも、それが国内だけでなく、ワールドワイドに展開して、グーグルを通して世界で活躍する人を見られることに非常に充実感を覚えます。


「自由な働き方が推奨され、子育てのサポートも充実している」と語る武内啓恵さん

仕事はワールドワイド
社内公用語は英語

―――自分たちの会社がワールドワイドだということはどこで実感されますか?

山本 実務レベルで言えば、サービスの場合、基本的には世界一斉に公開しますので、最初の1週間や1カ月で、どこの国でどのように使われているのかを観察しています。そうすると同じサービスでも国々よって違う使われ方をするので、国ごとの違いに驚いたり、ひいては私たちはそうしたスケールで働いているんだなと感じますね。

―――海外拠点の社員の方々との交流はあるんですか?

武内 すごくありますね。ユーチューブの仕事に携わる社員は世界中にいるので、基本的に一緒に働くのは海外の方です。基本的なミーティングも英語で行われます。

―――英語が社内公用語ですか?

山口 会議では参加者が全員日本人であれば、コミュニケーションがスムーズな日本語で行いますが、1人でも日本語が話せない人がいれば、英語でコミュニケーションします。とにかく一番コミュニケーションが取りやすい言語を選択しています。

―――日常の仕事でストレスを感じたり、組織上の理不尽な思いをすることはありませんか?

山口 もちろん組織ですから、ストレスはゼロではありません。ずっとリゾート地にいるわけではありませんから。1人で働いているわけではなく、大きな組織で働いているので、自分の思いどおりにいかないことはありますが、少なくとも社内であれば、「私はこう思っている」ということを明確にし、それが理解されれば、認められる環境にあります。したがって、理不尽に上から押さえつけられるようなことはありません。その意味では、ストレスはないかもしれません。

―――日本の会社のような理不尽さはないという感じですか?

山本 プレッシャーは正直あります。そのプレッシャーをストレスと思うか、仕事に必要なものと思うかはそれぞれの考えによるのかもしれません。でも例えば、目標設定などで「来年50くらいの成果を出したいけれど、どうでしょうか」と言うと、「君なら500くらいいくでしょ」と返ってくる(笑)。それくらいやらないと仕事している意味がないじゃないかと。それくらいのレベルのフィードバックがくると、もはやストレスではなく、違う段階にいかなきゃいけなくなる。日々、「自分はもっとやれるよな」という健全なプレッシャーは皆が持っていると思います。

武内 プレッシャーがあったとしても、会社もいろんな働き方を推奨してくれるので、その意味ではサポーティブな環境にあると思います。例えば、ちょっと具合が悪いときは、“ワーク・フロム・ホーム"(家から仕事)をすることもできます。
 ネットがあればどこでも働ける環境にあるので、海外出張に行った際にもハングアウトを使ってビデオ会議ができたり、どこにいてもテクノロジーを最大限に使って仕事のストレスを減らしていく。子育てなどの面でも非常にサポートしてくれる会社だと思います。その意味で日本の会社よりも、会社から自由を与えられていると感じています。


「世の中にインパクトを出せることに一番やりがいを感じる」と語る山本裕介さん

仕事のスピードはめちゃくちゃ早い
社員のコミュニケーションは常に密に行う

―――出社時間は決められているのですか?

宮家 フレックス制でコアタイムはあるのですが、家庭の事情などで出社が困難な日があれば、上司と相談の上、家から仕事をすることができます。残業も同様で、遅い時間に海外との会議があれば家からネットで参加できるというフレキシビリティーがあります。

山口 夜遅くに海外と同時ミーティングすることもあるので、翌日無理に朝早く出社しなくても大丈夫です。会社でも家でもオンラインでつながっていれば、どこで仕事をしていても構いません。そこは非常に柔軟です。

―――他部署の方々とはどうやって交流するのですか?

武内 社内にサークルが100以上あって、それぞれのメーリングリストに入ってしまえば、同じ部署以外の人とでも簡単に交流できます。

山口 ランチでもほかの部署の方々と気軽に話せますね。そういった意味で、知り合う機会は多いのかもしれません。飲み物やお菓子が自由にとれる“マイクロキッチン”という部屋が社内にあるのですが、そこでたまに顔を合わせたり、会話もあります。

山本 社内での仕事のスピードはめちゃくちゃ早いので、毎日いろんなことが起こります。ですから、たとえばある課題を来週の会議にかけて、その後いくつも稟議を通して…といったことが、ほとんどないのです。「これで困ってるんだけど、なんとかして」とその場で5分話して解決することも多く、よく見られる仕事の進め方になっています。
 逆に言えば、そもそも密にコミュニケーションをしていないと成立しない仕事のやり方をしています。サークルやランチでの交流もありますが、ベースはグーグルで働いて世の中を良くしたい、面白くしたいという考えが社員に通底していますから、仲良くなりやすいのでしょう。

宮家 グーグルでは、どの社員がどんな部署に所属しているかなど、社内のさまざまなことをイントラネットで調べることができます。あるトピックについて社内で詳しそうな人を自分で検索して調べて、知らない人であっても直接聞きにいくこともあります。社員全員が知り合いのようなフラットな環境が前提になっています。

山口 海外オフィスの全然話したことのない人でもハングアウトを使ってコミュニケーションをとることも多いですね。

宮家 社内ではグーグルカレンダーを使っているので、他の社員のスケジュールの空き状況を確認し、そのままミーティングを設定することができます。15分くらいの軽いミーティングであれば、「クイックシンクをキッチンで」とカレンダー上で連絡すれば、何度もメールのやりとりをすることなく仕事の方向性を相談できます。


グーグルには仕事を
ポジティブにクリアできる環境がある

―――会議の時間は決められているのですか?

武内 長いミーティングは長くても1時間くらいでしょうか。短いミーティングを推奨されていますから。

山本 私は25分ですね。ミーティングの時間の取り方を30分刻みにしています。ゼロ分スタートで全員いることが前提で、会議をやった結果、何を決めなきゃいけないのかを最初にメールで共有していますので、特に前置きもなくすぐに本題に入ります。
 また、ミーティングの後も来週までに何をやるのか、全員でその場で確認するので、伝達漏れがないようになっています。

山口 会議の際には事前に社内の共有ドキュメント(グーグルドライブのグーグルドキュメントというサービス)に自分のアイデアを書きこめるので、それを使って会議できるのも非常に効率的ですね。進捗状況についても誰もが編集できるようになっているので、誰か1人が議事録を取る必要もなく、実際の会議では、同じドキュメントに複数の人がどんどん情報を追記していって、終わったときにはちゃんとした議事録ができているという状態になっています。

武内 “ワン・オン・ワン”と呼ばれる毎週の上司との進捗報告ミーティングでも、必ずアジェンダを決めて、その内容をすべてカバーした後に、“アクションアイテム”と呼ばれる、来週までにどんなことをやるのかというポイントを書いて上司に渡しています。上司と常に情報をシェアしているので、そこをアップデートしていけば、上司は私がしている仕事の進捗状況がすぐにわかるようになっています。昔のように1~2週間仕事をして改めて報告書を書くような手間をかける必要がないのです。

―――皆さん、会社への不満は少ないようですね。

山本 自分のスタイルに合わせた働き方ができるようになっているので、画一的にこの制度が嫌だということがないからでしょうか。自分でアジャストできる幅があるので、会社の働き方への文句はないですね。もし働き方で嫌なことがあったら、自分で直せばいいじゃんという感じですね。

山口 エンジニアリング関係の仕事をしていると、日頃の開発環境やインフラは、F1の一品もののような最高のものをもっているので、ここでできなかったら他ではできないだろうという感覚はあります。チャレンジングな目標も四半期ごとにあるので、ストレスではなく、ポジティブにクリアしたくなります。良い環境を揃えたから、あとはやるだけでしょうというかたちですね。

―――チームワークの取り方では、どんな工夫をしていますか?

宮家 日本では毎週金曜日17時から全社員が集まってハードワークをねぎらいながら、新製品の話しをする“TGIF”という交流会があります。本社では創業以来行っているもので、最近では時差のあるアジア太平洋地域でもリアルタイムで見られるように木曜の夕方に移動しました。そこでは、主に会社が今どんなサービスや技術に取り組んでいるのかという話しが共有されます。
 社内の透明性を高めるためと、会社の将来について、ワクワク感じてもらいたいということでやっています。日本ではカジュアルに飲む場にもなっていて、「一緒にこんな仕事をしない」といった会話が生まれる場になっています。

山本 TGIFが必要なのは、見方を変えれば、毎週ねぎらうくらい日々たくさんのアップデートがあるということです。つまり、今週自分が何をやったのかを振り返る日になっているのです。そして、この1年、四半期ごとにどんなバリューを自分が出していくのか。そんなことを毎日考えているので、思いついたことを15分のクイックシンクで共有して、もし方向性に修正が必要であれば、その日に変えますし、皆にも連絡して変えていきます。

武内 去年の段階で今年のプランニングはできているので、その後の3カ月ごとにどんな結果を出したのかは見られています。その進捗状況を見て調整を行って、より高い目標に向かっていくのです。

―――自分のキャリアの中で、グーグルで働くことはどんな意味があるのでしょうか。

山口 ほかができないことをやり続ける会社だと思うので、この仕事が飽きるまでグーグルにいようと思っています。日々、何かしら新しいものが立ち上がっているので、新しいものを見つけて自分でチャレンジし続けたいと思っています。

武内 グーグルを使って世界を変えていくことが願いなので、自分がもっとできることをグーグルの中で見つけていきたいと思っています。社内の部署も自分が異動したければ、面接を受けて変わることもできるので、海外の拠点も含めて、自分で動いて新しいことにどんどんチャレンジしていきたいと思っています。

山本 会社員としてのキャリアで見れば、どう考えても最高の会社のひとつに来てしまったので、もう次には行けないと思っています。会社という組織だと、おそらくここより良い会社はないでしょうね。あとは自分でビジネスをやるしかない。グーグルは事業ドメインが広いので、いろんな人に会えて、非常に刺激的です。

(撮影:今祥雄)