西武新型特急「ほかの列車とは違う」存在感 来春デビュー「今までにない」会長も太鼓判

拡大
縮小
側面の窓は高さ約1.3mという超大型だ(写真:西武鉄道)
包み込むような形状のシート(写真:西武鉄道)

形式名は、「次世代のフラッグシップトレインとして、いままでに見たことのない新しい車両であること、次の100年に向けた出発点である車両であることを表現するために、100を逆さにして『001』にした」(若林社長)。00には無限の可能性も込めているという。

愛称の「Laview」は、Lが「贅沢(Luxury)なリビング(Living)のような空間」、aが「矢(arrow)のような速達性」、viewは「大きな窓から移りゆく眺望(view)」との意味。若手社員を中心とした新型特急プロジェクトのメンバーらが、現行の「レッドアロー」を含む100以上の案から選定したという。

後藤会長によると、新型特急のプロジェクトは西武鉄道の親会社である西武ホールディングスが東証1部に上場した4年前にスタート。西武鉄道社内のプロジェクトチームと妹島さん、さらに車両を製造した日立製作所と議論を続けて生み出したという。

鉄道車両のデザインは今回が初めてだったという妹島さんは「西武の特急は池袋から秩父まで、大都市や住宅地、自然の中を走り、通勤も観光もいろいろな年齢層の方がいろんな目的で乗る。いろんな方がこの特急に出会い、乗って、一緒にいろいろな風景の中を移動するという体験全体がわくわくするものを目指した」と語る。

新宿線は今のところ予定なし

001系は10月28日に西武線内に搬入され、回送の様子はインターネットのSNS上でも話題となった。計7編成56両が製造される予定で、2018年度から19年度にかけて順次、池袋線・秩父線で運行中のニューレッドアローを置き換え、ちちぶ号・むさし号として運転する。車両の構造上は地下鉄にも乗り入れが可能だが、現在のところ予定はない。新宿線での運行についても、今のところ具体的な計画はないという。

「新たな視点でイノベーションにチャレンジした大きな成果」と後藤会長がいう新型特急001系「Laview」。今年は埼玉西武ライオンズが10年ぶりのリーグ優勝を果たし、2019年春には沿線の埼玉県飯能市に「ムーミンバレーパーク」がオープンする予定など、西武グループや西武沿線が注目を集めるニュースが続く。西武の今後を象徴する車両と後藤会長が太鼓判を押す「いままでにないデザイン」の新型特急は、沿線風景の中でどんな輝きを見せるだろうか。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT