レクサスUXとトヨタC-HRは何が違うのか まもなく登場のコンパクトSUVを徹底解剖

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気負わず扱えるスッキリとした滑らかなステアフィール、上下方向はよく動くが横方向は無駄な動きを抑えた素直なハンドリング、ランフラットタイヤを履きながらも高い快適性、ドイツ車のような重厚かつ鉄壁のスタビリティとは違いヒラリと身をこなすフットワークの身軽さ、動的質感の高さなども相まって、まさに目線の高い「プレミアムスポーティハッチ」と言っていい。

欲を言えばステア系においては、もう少しシッカリした剛性感と大きなギャップでのリアサスの収まりはもう少し頑張れるような気がする。静粛性はパワートレーンから発生するノイズや風切音などはかなり抑えられているのだが、逆に周りが静かなのでタイヤのロードノイズが少し気になった。また、個人的にはFスポーツだけでももう少しダイレクト感や機敏さを重視したセットでもいいと思う。そもそも、内外装の意匠が異なるうえにキャラクターも異なるラグジュアリーとFスポーツの走りのセットアップが同じなのはちょっと……。

いい意味での「脱トヨタ」!?

C-HRはステアフィールも足の動きも決して過敏ではないが、UXと比べるとレスポンス重視のキビキビ&軽快な走りが特長となっている。快適性は17インチのほうが優れるものの、クルマのイメージを考えると18インチのほうが走りに迷いがないと思う。もちろん乗り心地はやや硬めではあるが決して不快ではないので、筆者はこちらをお勧めしたい。どこかが突出しているわけではなく、全体のバランスのよさは、いい意味で「脱トヨタ」なのかも!? ただ、この流れはカムリやカローラスポーツでも感じたことなので、トヨタは確実に何かをつかんだと思う。

この2台が決定的に違うのはパワートレーンだ。UXはガソリンがダイナミックフォースエンジンと呼ばれる2L直噴(174ps/209Nmを誇る)と発進ギアがプラスされたダイレクトシフトCVTの組み合わせ。ダウンサイジングターボ並みの実用域の豊かなトルク、NAならではの滑らかでレッドゾーンの6800rpmまでスッキリ回るフィーリングと、久々に「いいNAエンジン」に出会った感じである。トランスミッションもダイレクト感や応答性のよさ、変速追従性など「CVTもここまできたか」というレベルで、おそらく全開で走らせないかぎりは、よくできたATと勘違いする人もいるはず。

ハイブリッドはこのエンジン(145馬力/188Nm)+モーター(108.8馬力/202Nm)の組み合わせでシステム出力は178.1ps。これまでのトヨタのハイブリッドシステム(THS-Ⅱ)の多くは非力なエンジンをモーターが補うイメージだったが、このシステムは十分な出力を持つエンジンにモーターを上乗せした印象で、例えるならば「電動ターボ」のような力強さだ。また、THS-Ⅱのウィークポイントの1つであるラバーバンドフィール(エンジン回転の高まりが加速力よりも先行する現象)もかなり抑えられて、車速とリンクした伸びのある加速感も相まって、日常走行のほとんどでハイブリッドを意識させない仕上がりだ。

UXと比べるとC-HRはガソリン/ハイブリッドともにツラい。ガソリンは1.2L直噴ターボ(116馬力/185Nm)とCVTの組み合わせ。ハイブリッドはプリウスと同じ1.8L(98馬力/142Nm)+モーター(72馬力/163Nm)でシステム出力は122馬力。どちらも実用域はともかく絶対的なパフォーマンスは完全に力不足なうえにフィーリングもイマイチである。

そういう意味ではC-HRは完全にシャシーがパワートレーンに勝っている状態だ。ちなみに2台ともに駆動方式はFF/AWDが選択可能だが、AWDはUXがハイブリッドのみ、C-HRがガソリンのみの設定となっている。これは戦略の違いか!?

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