金の底値買いは、ソロスに学べ! 【新連載】金価格はもう一段下落するのか?

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金生産国の1位中国と4位のロシアなど社会主義の国々を除き、大半の金鉱山は民間企業により操業されている。当然ながら利益獲得が最大目標であり、採算を度外視して操業することはない。それゆえ、今後の金相場を占う点で、この生産コストが重要となってくる。           

さて、ここで参考にしたいのが、世界的な投機家であるジョージ・ソロス氏の相場観だ。最近、ソロス氏は日系女性と41歳の「年の差婚」でも話題をまいた。

いつまでも輝く? ソロス氏の次の一手に注目

同氏は1993年3月に、金相場が当時、世界第一の生産を誇っていた南アフリカの生産コスト水準である1トロイオンス当たり326ドルまで下落したのを見て、「金相場は底値」との判断を下した。ここから金相場は間違いなく上昇し、価格上昇による業績向上から鉱山会社の株価も上昇すると予測、米国の大手金鉱山会社・ニューモント社の株を買い占めた。

今でこそ、金は金ETF(上場投資信託)を通じて比較的簡単に購入できるが、当時、ヘッジファンドは現物地金に一定額以上の投資はできず、もっぱら株式での運用に限られていた。ソロス氏の思惑どおり、金相場はその数カ月後に400ドルに上昇、株価も思惑どおり上昇したため、ソロス氏は莫大な利益を上げたのである。

その後のソロス氏は、2004年11月にNY証券市場にETFとしてGoldが正式に上場されたことを利用し、金ETFでの運用を開始したと推定される。特に生産コストが急騰し始めた08年あたりからは一段と積極的に売買したようだ。

2010年の初頭にかけて、金相場が1トロイオンス1000ドル台に高騰したのを見て「究極の資産バブルはGold」と言及したが、その時点でソロスファンドはすでに16トンの金を保有していた。その後、金相場は1500ドルに向け上昇の一途をたどったのだが、ソロス氏は1年3カ月の間にわずか130キログラムまでETF保有高を減少させ、ここでも多額の運用益を得ることとなった。

同氏の金投資はこれで終わらず、QE3(量的緩和第3弾)実施とともに金相場が1トロイオンス1800ドルに向けて上昇し始めると、再び金投資に復帰。2012年9月に時点でETF保有高を4.11トンまで復活させたが、予想に反して金相場は上昇しなかった。世界的な景気減速懸念が蔓延する中で金相場は反落したため、昨年末までにわずか1.87トンに削減。さらに今年第1四半期末までには全量を処分して撤退した。

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