2020年五輪成功には若者の活躍が不可欠 水野正人 × 三ツ谷洋子 対談(上)

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水野:幸運にも、私はこれまでのキャリアで世界のスポーツ関係者と友情を交わしてきたので、常時コミュニケーションをとれる立場にありました。1996年からIOCのスポーツと環境委員会委員を務めていますし、ミズノは1998年からIOCのオフィシャルサプライヤーとしてオリンピックに協力してきました。

もちろん、私個人だけで100人以上のIOC委員の全員に直接会って説得などできませんから、竹田理事長や荒木田裕子理事、中森康弘理事、また、スポーツ界、政界、官界と多くのコネクションをもつ方々と役割分担をしながら世界中を回りました。荒木田さんは1976年のモントリオール五輪女子バレーの金メダリストとして活躍された方で、アスリート委員たちにアプローチをしていただきました。

三ツ谷荒木田さんが果たした役割は大きかったのではないでしょうか。荒木田さんは女子スポーツ選手の引退後のロールモデルになるのではないかと思います。現役を退いたあと、スイスの男女ナショナルチームの監督をしたり、イギリスで英語を学び、JOCをはじめさまざまな場面でスポーツの振興に貢献、活躍されています。

スポーツ界にも語学力は必要

水野:海外トレーニングを積んできた選手は語学堪能な人が多いと思います。国際化が進展するなかで、スポーツ界でも語学力のある人を積極的に起用していくことが大切だと思っています。

三ツ谷また、滝川クリステルさんは、日本人の「おもてなし」の素晴らしさを最終プレゼンでアピールしました。

水野:日本人が海外に行っても、現地の人から観光客として歓待を受けるのは一緒です。では、日本とどこが違うのか。わが国においては道路交通網といった基本的なインフラが整備されており、清潔を保つ、時間を守る、口約束を守る、これらすべてを積み上げた総合的かつ文化的行為そのものが、「おもてなし」なのです。

日本国内に居ただけでは、日本のよさには気付けません。海外で食事しておなかを壊すことや、電車が時刻どおりに来ないという経験をして、初めて逆説的に日本の素晴らしさに気付くのです。

それだけに若い人は積極的に海外に出て、愛国心を養ってほしいと思います。

(後編に続く)(『Voice』2013年12月号より)

(写真:井上直哉)

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