東京五輪は、アスリートたちを救うか?

“大学一”でも就活に苦戦する、選手たちの近未来

東京五輪開催決定に沸く日本だが……(写真:アフロ)

2020年のオリンピック開催地がTOKYOに決定して、各種メディアの「東京五輪」がらみの報道が過熱している。日本国民にとっては夢のある話だが、2020年東京五輪を担うであろう大学生アスリートに、明るい未来が待っているとは限らない。なぜなら、卒業後の“進路”が決まっていない選手があまりにも多いからだ。

「大学一」でも就職先がない?

9月4~6日に陸上競技の日本インカレが国立競技場で行われた。筆者が記事を寄稿している『月刊陸上競技』は、全種目の優勝選手に取材をしており、大学4年生には「卒業後の進路」も聞いている。

今回の日本インカレでは、駅伝での活躍が期待される中長距離選手を除くと、19人の大学4年生チャンピオンが誕生した。しかし、「実業団選手」として“就職”の見通しがつきつつあるのは、わずか4人しかいなかった。大手企業では4月中旬から下旬が内定出しのピークになるが、長距離種目以外の選手では「大学一」になっても、就職先が決まっていない選手が大半なのだ。

その多くは「大学卒業後も競技を続けたいと思っています。でも、まだ所属先が決まっていないのです」と悲しい顔をする。中には一般企業からすでに内定を得ているものの、夢と現実の狭間に揺れている学生もいた。

長距離選手は「駅伝」という企業名を前面に押し出すことができる“特殊種目”があるため、大学3年時までに箱根駅伝出場レベルの実力をつけることができれば、「実業団選手」の道に進むことができる。全8区間で争われる全日本実業団駅伝で上位を狙うには、1チーム当たり12~16人ほどの選手と、それなりの「枠」があるからだ。全日本実業団駅伝の出場枠は「37」で、本格的に強化を図っている企業・団体の数は「50」近くあり、男子の長距離選手だけで、600人以上の実業団ランナーがいると推測される。

しかし、長距離以外の種目で、「実業団選手」として就職するのはかなり難しい。毎年、複数の選手(長距離以外)を採用しているのは、ミズノ、富士通、スズキぐらい。すでに内定を発表しているのは、ミズノに進む飯塚翔太(中大)とディーン元気(早大)だけというのが現状だ。

ちなみに飯塚は今季200mで日本学生記録&日本歴代3位となる20秒21の好タイムをマークしている選手。モスクワ世界選手権では男子200mで準決勝に進出すると、男子4×100mリレーではアンカーを務めて、「6位入賞」のゴールに飛び込んだ。日本スプリント界の中心選手のひとりだ。

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