松本人志「ネットお笑い番組」が爆走するワケ Amazonビデオに「コンプライアンス」はない?

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社会派の「オレオレ詐欺選手権」シリーズでは仕掛けられた芸人の母親が過呼吸状態に陥ってしまった場面もあります。こうした際どい内容ゆえに、キャスティングに半年以上かかることも多いそうです。それでも、ブレずにリアルにこだわった結果、コンプライアンス上NGになるケースもないということです。

地上波にケンカを売っているわけではない

『カリギュラ』はシーズン2の配信が8月31日から始まり、シーズン1でも登場した後藤祐樹がタトゥーを入れようとしている娘を叱る「デスペラード~ならず者よ、正気に戻ったらどうだい」や、大規模な爆破に挑む「特攻野郎Aチーム」、行方がわからなくなった元AV女優カオル(仮)に会って謝罪する「再会~地上波では会えないあの人に会いたい~」など新企画も意欲的に打ち出しています。

「規制があるからこそクリエイティブが生まれると思う」と話す『カリギュラ』総合演出家の姉崎正広氏(筆者撮影)

「地上波にケンカを売っているわけでは決してありませんよ」と前置きしながら、地上波の番組演出も幅広く手掛けている姉崎氏から「地上波の規制は暗黙のルールが出来上がっているところもあります。でも、決して面白さを追求することをあきらめてはいません。偉そうに聞こえるかもしれませんが、地上波も配信もそれぞれ刺激されながら、一緒になってバラエティを盛り上げていきたい。これからもそれぞれの形態にハマった面白いやり方で攻めていきたいと思います」と、そんな本音も聞けました。

バラエティ番組の出口がネット動画配信にも広がることで市場が広がることは好ましいことです。さらに、コンプライアンスやフォーマットだけでなく、企画の切り口の違いから面白さの幅が広がっていくことも理想的。その時代は近いのかもしれません。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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