賛否のオリ・パラボランティアに必要な対策 東京2020大会で11万人、募集開始は9月中旬

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今年の猛暑のせいもあるかもしれないが、東京オリ・パラのボランティア募集を前に、過酷な条件への批判も出て「ブラック・ボランティア」という言葉も生まれている。確かに「好条件」ではないかもしれないが、それをわかったうえでの「志願」なので、「ブラック企業」や「ブラックバイト」で使われる言葉と一緒に論じるのは無理がある気がする。

では、11万人が多くのハードルを越えて集まるのか。西川氏は「ロンドンやリオでは24万人の応募がありました。リオではうち9万人が外国の方でした。日本はもっと応募があると思っています」とみる。

ロンドン大会でのボランティアの平均年齢は44歳だったという。「学生とシニア層が中心だったので、東京でも同様の平均年齢になると予想します。特に前回1964年大会の思い出があるシニア層が集まるのでは」とも話した。先述した6月のシンポジウムでは、オリ・パラのスポンサー企業を中心に、企業内でもボランティア募集を行っていることも紹介された。

ブラックという人たちとは出発点が違う

有償ではだめなのだろうか。「お金のためにやるのとではまったく違う」と西川氏はいう。リオデジャネイロでは都市ボランティアの多くを貧困対策のために有償としたそうだが、「人に接するときの笑顔が違う。大会の顔としては成り立たない。心からの笑顔になれるのがボランティアだと思います」と話した。

「なぜボランティアなのかは、楽しいから。お金のためじゃない。ブラックという方々とは、出発点が違うんです。また、普段なら会えないはずのいろいろな人たちと会える。終わってからも交流が続く。それも魅力です」(西川氏)。ネット上にはボランティア経験者たちのコミュニティがたくさんできているという。やった人でなければわからないこともあるようだ。

それでも、ボランティアをするには先述したハードルがあり、全世代が「気軽に」とはいかないかもしれない。語学力も「通訳など専門的なものは除いて、中学程度の英語で十分」(西川氏)というが、それでも自信のない方は多いだろう。

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