「温暖化」の影響、実はこれからやってくる さらに強烈な熱波が、頻繁に来るように

拡大
縮小

そして温暖化を緩和する努力は失敗に終わってきた。温暖化ガスの排出量が増えるにしたがい、もっと強烈な熱波が、もっと頻繁に到来するのは間違いないと専門家は断言してきた。そうなれば、食料や電力といった必需品を供給するシステムがダウンするかもしれない。

専門家にとっても、今年は気候変動を研究するだけでなく、気候変動を実際に生きることの始まりだ。

個人も社会も温暖化に適応できていない

「今年の状況は、子供たちの将来だけでなく、自分の現在や未来の生活をどう適応させるか考える必要性を突きつけている」と、ジョージア工科大学のキム・コブ教授(地球・大気科学)は語る。「社会としても、個人としても、私たちは(現在の温暖化レベルに)適応できていない」。

スタンフォード大学の気候科学者キャサリン・マックも、自分の中で何かが変わったと言う。「何十年も前に気候変動の研究が蓄積され始めたとき、この問題は自分ではない誰か――未来の世代や遠く離れた貧しいコミュニティ――の問題だと考えられていた」。

やがて科学の進歩により、個別の天気を気候変動と結びつけることが可能になった。「湿度が高くなり、にごった空気が立ち込めるなか、大気中に熱をこもらせるガスが温暖化リスクを高めていることは常識になった。誰もがその変化を経験している」。

これまでのところ、史上最も暑い年は2016年だった。だがそれはまったくの予想外というわけではなかった。その年は、異常気象を引き起こすとされるエルニーニョ現象が見られたからだ。問題は、エルニーニョが起きなかった2017年も、前年並みの暑さになったことだ。アメリカ海洋大気局(NOAA)によると2017年は史上3番目、NASAによると史上2番目の暑さだった。

次ページ大気中の炭素量は80万年で最高水準
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT