「温暖化」の影響、実はこれからやってくる さらに強烈な熱波が、頻繁に来るように

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世界的に猛暑に見舞われた今年は、観測史上4番目の暑さとなった。写真はインドのニューデリー(写真:Saumya Khandelwal/The New York Times)

うだるような暑さが世界各地を襲っている。この夏は、専門家がかねてから警告してきた温暖化後の生活を、地球規模で「お試し体験」しているようなものだ。その感想は、「準備万端とはほど遠い」というのが多くの人の実感ではないだろうか。

日々の暮らしへの影響は、広範かつ壊滅的なレベルに達している。カリフォルニア州の山火事は、消防当局の必死の努力にもかかわらず燃え続けており、州史上最長の火事になっている。さらにスウェーデンからエルサルバドルまで、世界各地で小麦やトウモロコシなど穀物の収穫量が落ち込みそうだ。欧州では、原子炉の冷却水に使われる河川の水温が上昇したため、原子炉が運転停止に追い込まれた。

アメリカでは酷暑による死者数が5倍に

日本など多くの国で熱中症による死者が報告されているが、これは「地球温暖化は死亡率を大幅に上昇させる」という予想をうかがわせる。7月に医学専門誌『PLOSメディシン』に掲載された研究論文によると、アメリカでは2080年までに酷暑による死者数が現在の5倍に増える可能性がある。フィリピンの場合は12倍にもなるという。

このままいくと、世界的に見て今年は史上4番目に暑い年になりそうだ。世界の気温上昇のトレンドを見ると、たしかに産業革命以降に加速しており、気候変動の原因は温暖化ガスの排出量増加だという専門家の主張を裏づけているように見える。

近年の地球温暖化と人命への影響は、「もはや警鐘のレベルを超えている」と、NASAゴダード宇宙科学研究所のシンシア・ローゼンツワイグは言う。「(地球温暖化は)もう現実になりつつある」。

ただし、現在の状況を「ニューノーマル」と呼ぶのはまだ早いかもしれない。というのも、気温上昇はまだ続いているのだ。

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