日本人と中国人の変化する「国際結婚」事情 若い世代の在日中国人は昔とは違う感覚だ

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日本人にとって中国人の若者は、日本人にとっては前世代に感じたセンスが悪く太ったうるさい中国人おばさん、中山装(人民服)のいちばん上のボタンまで締める厳しいおじさん、といった「別世界のような存在」ではなく、もっとフランクに話すことができ、「普通に」付き合える相手になったのではないか。

もちろん、年上の日本人と結婚する中国人もまだいるが、今は年齢や裕福さより、好きな人、話が合う人と付き合い、結婚することが好まれるように多くなってきたといえるだろう。

3.日本人の親―シルクロード世代の国際視野

もう1つの影響が、今の日本人若者の親世代だ。50代以上の日本人は、若い頃日本の経済成長に伴い、会社の国際展開にも関与するようになった。海外出張、海外駐在、あるいは日本本社の国際担当といった仕事で、外国人との接触が増えた。その人たちは、日本と違う文化を持つ国や人に対する寛容力が高くなり、子どもの教育もなんらかの形で「国際的」になる。

海外で教育を受けさせたり、英語を重視したりするのも当然だろう。何より、他国の人への抵抗感が比較的に少ないといえる。

自分の子どもが中国人と結婚したいと言い出したとしても、「外国人、ましてや中国人だからダメ」というハードルはないだろう。むしろ、テレビ番組(NHK特集の「シルクロード」など)の影響を受け、中国文化を尊重し、子どもの婚姻にも過剰な干渉しないようにしているようだ。

実際、日本では国際結婚のハードルがまだまだ高いが、スムーズに結婚しかつ円満な暮らしを送っている日中夫婦で、日本人配偶者のご両親が大学の先生、企業の国際部門責任者、海外赴任経験者であるケースを筆者はいくつも知っている。

「上海丈夫(家事をする男)最高!」

もう1つ興味深い動向は、これまでのパターンとは逆の「中国人夫と日本人妻」という夫婦の増加である。

「女性が外に嫁ぐ」が相変わらず主流だが、逆パターンも徐々に人気になっている傾向がある。理由の1つは、日本人女性の社会進出だろう。

今まで、女性は家庭、男性は仕事というのはデフォルトだったが、女性の社会進出の増加、自己実現意欲の向上により、家事と子育てに充てられる時間が減少している。一人で回らない場合、夫に手伝ってほしいものだが、中国では中華人民共和国建国以来、共働きがデフォルトなので、中国人男性のほうが家事、育児に抵抗感が低いようだ(上海の男性はその傾向があるともいわれる)。

中国人男性の多数は、プライベートを犠牲にしてまで仕事をすることはなく(日本企業では出世に響くといわれるが)、家庭を重視する。小さい頃から自分の父も普通に料理をし、学校の行事にも来ているので、男性だからしないという考えはない。日本人男性に比べ家事を分担してくれるので、バリバリ働きたい日本人女性にとって大きな助けになる。

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