JAL導入を突破口に日本でシェア5割目指す エアバスCEO、対日戦略を語る

拡大
縮小

――エアバス機の導入に当たって、JALではパイロットの育成や機体・エンジンの整備などで不安もあったと思うが。

画像を拡大
JALの植木義晴社長と契約書に調印

「A350」に搭載する英ロールスロイス社製のエンジンは非常に強力なエンジンだが、日本ではあまり知られていない。その分、当社が十分な整備のサポート体制を敷く。

パイロットの育成についても当初は不安を感じていたようだが、エアバスの自動操縦装置は非常に優れており、エアバス機を飛ばすことは難しくない。JALもその点についてすぐに理解してくれた。

われわれはベストな製品だけでなく、ベストなサポートも提供する。長期にわたるJALのパートナーとして、いつでも近くにいて協力すると約束した。

CEO就任後すぐ日本市場の優先順位を上げた

――現在のエアバスにとって、日本市場はどういう位置づけなのか。

今後20年間で550機前後の更新・新規需要が見込まれ、世界でみても、需要見通しの上位10カ国の一角を占める重要な市場だ。ただ残念ながら、これまでの実績では、エアバスが日本で成功しているとは言い難い。

実は、私は昨年CEOに就任してすぐ、市場として日本の優先順位を上げた。当社が苦戦する数少ない市場だからこそ、やるべきこときちんとやれば、シェアを上げられる余地が非常に大きい。20年後には、日本におけるエアバス機のシェアを、世界シェアと同じ50%まで引き上げたい。今回のJALとの契約が示すように、そのチャンスは十分あると思っている。

――JALから契約を勝ち取ったことで、「B777」後継機を巡るANA(全日本空輸)との商談にも大きな注目が集まっている。ボーイングの激しい巻き返しが予想されるが、自信のほどは?

もちろん、ANAにも「A350」を飛ばしてもらえたら、非常に喜ばしいこと。しかし、JALはJAL、ANAはANA。ライバルのボーイングもいるので、JALがエアバスを選んでくれたからといって、ANAでもそうなるとは限らない。もちろん、われわれはANAに対しても粘り強く交渉していくし、ANA固有のリクエストがあれば真摯に応えていく。

次ページ優位性はどこにある?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT