米朝会談は「アメリカの深刻な病」を映す鏡だ ぐっちーさん流「米朝会談のリアルな読み方」

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皆様も、これは世紀の会談でもなんでもなく、「怪談」だと実感されたのではないでしょうか。トランプ大統領にとってはどういう中身があるか、米朝関係を将来どうするべきか、なんてことはどうでもよいことで、いかに自分自身をショーアップできるか、にすべての意識が集中されているのです。

米朝首脳会談自体も、金正恩その人も、彼から見れば自分をショーアップするツールでしかありません。まさに人気テレビ番組だったアプレンティスやプロレスの団体WWEで身に着けてきた技術が集大成として炸裂したわけです。

アメリカは言われているほど「進歩」していなかった!?

「トランプの支持者は忘れ去られたラストベルト地帯の白人男性だ」、としばしばいわれるわけですが、実際にアメリカに住んだり仕事をしてみたりすると、そうでもないのです。

1990年代からアメリカのインテリ層の間では、こんな考え方がすでに主流になっていました。男女、人種、マイノリティーの差別などもってのほかで、健康的な生活を送り、エネルギー・環境問題を考え、サステナビリティ(持続可能性)のある世の中を作る――。こんな考え方が広がってきて、大学を出た高学歴のアメリカ人は、みんなそういう考え方を持ち始めたのだ、とわれわれ、特に外国人は勘違いをしてしたわけです。

少なくとも、ロサンゼルスやシアトルなどの西海岸の都市や、ニューヨークなどの国際都市などにいるような高学歴の人たちはそういう人たちなんだ、という、ある意味思い込みがあるわけです。しかし、実際は古いアメリカの考え方が頑迷に残っていたのでした。「完全に世代交代した」と思ったら、「どっこい、いい勝負をしていた」というのがトランプ大統領の登場でわかってしまったのです。

わかりやすく言えば、「体に悪いからマクドナルドはやめて、シェイクシャックを食べましょうね。それもあまりよくないから、せめて1食は野菜にしましょう。そしてジムにもちゃんと行って・・・・・・」などなど、それが未来のアメリカ人像だ、と言わんばかりのインテリ層が主流になってきた、と見えたわけです。そんな人たちがトランプなんぞ支持するわけは絶対になく、まさにそういう価値観をそのまま体現しているように見えたヒラリー・クリントンが負けるはずはない・・・・・・と思って気を緩めていたら、負けてしまったのです。

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