ハーバード生の卵子は300万、卵子売買の今 卵子と精子はこう売買される

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ドナーは3世代前まで徹底チェック

ロサンゼルスに本社を構えるクライヨバンクは、30年の歴史を持つ米最大手の精子バンクだ。本社に加え、パロアルト、ボストン、ニューヨークに拠点を持ち、社員数は約130人に上る。

クライヨバンクの顧客は年間1万から1万2000人で、毎日平均で100件の精子を出荷、毎年平均で2500~3000人のベビーが産まれる。

精子を受け取るのにかかる料金は1回当たり600ドル。どの精子を選ぼうが値段は同じだ。同社の顧客担当ディレクターのスコット・ブラウン氏によると、顧客の内訳は、不妊に悩む夫婦や夫が遺伝子に問題を抱える場合が約4割、シングルマザーが約3割、レズビアンのカップルが約3割だという。

クライヨに登録する精子ドナーは現在、358人。通常、一人のドナーは、15の家庭に精子を提供する。顧客側はドナーの条件として、「健康で高学歴、社会的に成功し、ルックスもいい」といった要求を並べるが、クライヨでは博士号を持とうが、芸術家であろうが、ドナーに対する報酬はみな同額だ。

精子提供1回当たりドナーは100ドルの報酬を受け取り、正式にドナーとして認められるとボーナスも出る。精子提供は約1年続くのが普通で、受け取る報酬の総額は平均1万2000ドルに上る。

ブラウン氏は「ドナーには学生が多いため、拠点をカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、スタンフォード大学、コロンビア大学、ニューヨーク大学など名門大のそばに置いている」と語る。

ただ、ドナーとして認められるのは申請者のわずか1%という、狭き門だ。ドナーの候補は、約半年をかけて、性病の有無や、遺伝子に問題がないかを3世代前までさかのぼって徹底的にチェックされる。

つねに新しいドナーを必要とするため、クライヨでは、社員12人を専属のドナー探しに当てている。ドナー募集には、グーグル、フェイスブック、オンライン広告のクレイグズ・リストなども使う。

ちなみに、日本からも精子出荷の注文があるものの、日本人のドナーは圧倒的に少ないそうだ。「日系人を含め、日本人のドナーは6人しかいない」(ブラウン氏)。

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