50代がAI時代を生き抜くにはどうすべきか AI時代に求められる人材とは?

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労働人口が著しく減る近未来の日本で、AIが労働市場に進出すれば、深刻な人手不足は緩和されるのではないか? 仮に単純作業がAIに奪われるのであれば、現在そうした職種に就いている者は数値化できないクリエイティブな能力をこれから身につけるべきなのか?

AIと人口減少、働き方、教育……多岐にわたって語り合った新井氏と加谷氏の対談を、2回に分けて掲載する。

「中国に負けたくない」日本のAIブーム

加谷:新井先生の著書では、AI技術やディープラーニングに対する、今よくある誤解を指摘なさっています。その一方で、「なぜ飛行機は飛べるのか」は分からなくても実際に飛んでいるんだからそれでいいじゃないか、という意見もあると思います。

加谷珪一(かや けいいち)/経済評論家。1969年、仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。著書に『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)、『ポスト・アベノミクス時代の新しいお金の増やし方』(ビジネス社)、『お金は歴史で儲けなさい』(朝日新聞出版)など。ニューズウィークウェブサイトなど多くの媒体で連載を持つ(写真:Newsweek Japan)

私は工学部の出身なので、実際にそういう考え方をするほうなのですが、そうは言っても、「どこまでAIに解決させるべきなのか」ということは検討すべき課題だと考えています。

ビジネスの現場では、「なぜここに人を立たせたらこの商品が売れるのかは分からないが、AIがそう解析したから、そうである」ということが既に起こっています。一体、人間はどこまでAIの出した答えに従うべきなのか、という点に関して、先生はどのようにお考えですか?

新井:まさにそれについて考えさせられることが先日ありました。「AI立国」を宣言したフランスのマクロン大統領が世界から12人のAI専門家を招いて、フランスとヨーロッパのAI戦略を検討する会議を開きました。私もアジアからひとりだけ選ばれて出席しました。

そのとき、やはりフランスやヨーロッパの立ち位置は面白いな、と思ったんです。というのは、例えば日本は、アメリカや中国が何か新しいことをやると急に浮き足立ちますよね。

加谷:確かに「せめて中国には負けたくない」という空気がありますね。おかげでAI関連も一気に賑やかになりましたが、「AI」という名が付けば何でもいいようなところもありますね。

新井:そうなんです。それに対してアメリカは、何でもすぐにやっちゃいますよね。ただそのせいで、ウーバーでの事故などが起きている現実があります。

また、韓国の場合であれば、今すごく流行っているアプリは、何にでもつながってしまうので、ローンを借りられるのか、お見合いをしてもらえるのか、といったことまでがSNS上のつながりの影響を受けるようになっているそうです。

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